情報セキュリティポリシーは、企業や組織の情報セキュリティ対策に関する方針や行動指針を明文化したもので、その重要性は日々高まっています。特に、リモートワークの普及や新しい技術の登場に伴い、適切な情報セキュリティ対策が不可欠となっています。
しかし、情報セキュリティポリシーの策定は複雑であり、一からの作成は時間と労力がかかります。
そこで、この記事では情報セキュリティポリシーの基本的な内容や策定のポイント、さらには実用的な雛形を紹介します。
目次
情報セキュリティポリシーの雛形(サンプル)
情報セキュリティポリシーの策定には、業務内容や組織の規模に応じてカスタマイズする必要がありますが、手間を省くためにすぐに使える雛形(サンプル)を活用することが効果的です。
本資料では、実用的なセキュリティポリシーのサンプルを無料でダウンロードできます。特に中小企業やリソースが限られている企業にとっては、自社に適したポリシーを策定するための第一歩としてご活用いただけたら幸いです。
情報セキュリティポリシーとは?
情報セキュリティポリシーとは、企業が実施する「情報セキュリティ対策」の方針・指針のことです。情報セキュリティポリシーには、社内規定に基づいて多様化・巧妙化するサイバー攻撃に対して、どのような対策を行うのかを記載していきます。具体的な記載項目は、セキュリティを確保するための体制や基本方針、対策基準などが挙げられます。
情報セキュリティポリシーは、企業規模や業務内容などによって異なり、企業ごとに規定しなければいけないものです。業務形態やサーバー・ネットワークシステムなどの構成、管理している情報資産などを考慮した上で、企業に適したセキュリティポリシーを作成しなければなりません。また、情報セキュリティポリシーは企業のセキュリティ対策の方向性を定めること以外にも、自社の社員のセキュリティ意識の向上や顧客・取引先からの信頼性の向上など、様々なメリットを得られます。
情報セキュリティポリシーの3つの構成
情報セキュリティポリシーは、「基本方針」「対策基準」「実施手順・運用」の3つから構成されます。この章では、それぞれどのような内容の記載をするべきかを解説します。
情報セキュリティの基本方針
基本方針には、セキュリティポリシー全体の方針を記載します。具体的には、「なぜセキュリティ対策を講じる必要があるのか」「企業の大切な情報資産を守るためにはどのような方針で行うべきか」などの内容の文章を記載する必要があります。セキュリティポリシーの理念ともいえる重要な箇所であり、ここで規定した基本方針を基にして、下記の対策基準や実施手順等を決めていきます。
情報セキュリティの対策基準
対策基準には、企業内の部署やシステムごとに詳細に決めていく必要があります。策定した「基本方針」に従い、ガイドラインを策定してきます。具体的には下記のようなガイドラインを策定する必要があります。
・サーバー・ネットワーク機器運用ガイドライン
・アプリケーション開発ガイドライン
・顧客情報の保管・管理に関するガイドライン
各ガイドラインごとに、「どのような行為・行動を許可するのか/してはいけないのか」「どのデータが企業の機密情報に該当するのか」などの基準を明示した上で、策定していきましょう。また、違反した場合、どのような罰則を行うのかなどの罰則に関する規定も併せて行います。
情報セキュリティの実施手順・運用
続いて、実施するべき情報セキュリティ対策を具体的に記載していきます。実際の業務を行う上での作業手順や注意点などを詳細に記載しなければなりません。この実施手順の作成に関しては、セキュリティ部署のメンバーだけではなく、各ガイドラインに関連している部署・メンバーも積極的に関わっていきます。例えば、下記のようにどの業務内容のガイドラインなのかが一目で分かるように作成していきましょう。
・スマートフォンへのセキュリティソフトの導入手順
・ネットワーク機器の正常稼働の確認手順
・電算室入室に関わるアクセス権限の付与手順
・IDカードの発行手順
このようにセキュリティポリシーに準じたマニュアルを作成することで、セキュリティ違反を防ぎ、安全な作業を行えるようになります。
情報セキュリティポリシーの雛形(サンプル)を3つ解説
情報セキュリティポリシーを規定した経験がない企業にとっては、一から策定を行うのは非常に手間が掛かります。そのため、公開されている情報セキュリティポリシーの雛形を活用することをおすすめします。
この章では、公開されている情報セキュリティポリシーの雛形を3つ解説していきます。
1.JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)
1つ目に紹介するのは、JNSA(日本ネットワークセキュリティ協会)が公開している「情報セキュリティポリシーサンプル」です。
近年主流となりつつあるクラウドやスマートデバイス、SNSなどへの対応も盛りこまれた内容となっています。システム利用規定やスマートデバイス利用規定、SNS利用規定などのサンプルが含まれているのが特徴です。
2.独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
2つ目に紹介するのは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」です。
主に中小企業向けのガイドラインとなっており、情報セキュリティ対策の進め方を具体的に解説しています。すぐに利用可能な情報セキュリティ基本方針の雛形や情報セキュリティ関連規定の雛形が含まれているのが特徴です。また「クラウドサービスを安全に使うための手引き」も新たに追加されています。
3.文部科学省
最後に紹介するのは、文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインハンドブック」です。
こちらは教育機関を対象に作成されたガイドラインになります。教育現場でも、生徒一人一人に対してのパソコンやタブレットの貸し借りやクラウドサービスの利用なども、多く見られるようになりました。このような教育現場の特徴を踏まえたガイドラインとなっているため、学校などでのセキュリティポリシー策定に有効に活用できるでしょう。
情報セキュリティの策定手順
情報セキュリティ策定の流れ・手順としては、はじめに責任者・担当者の選出から行っていきます。大まかな流れは下記の通りです。
1.策定の組織決定(責任者、担当者の選出)
2.目的、情報資産の対象範囲、期間、役割分担などの決定
3.策定スケジュールの決定
4.基本方針の策定
5.情報資産の洗い出し、リスク分析とその対策
6.対策基準と実施内容の策定
それぞれ解説してきます。
1.策定の組織決定(責任者、担当者の選出)
はじめに、セキュリティポリシーを策定する上での責任者・担当者を選んでいきましょう。情報セキュリティポリシーの策定は責任者が主体となり、組織一丸となって実行していかなければなりません。セキュリティ部署のメンバーだけではなく、経営者や経営層も情報セキュリティポリシーの策定に積極的に関わっていく形が理想です。
2.目的、情報資産の対象範囲、期間、役割分担などの決定
次に、セキュリティポリシーの目的や情報資産の対象範囲等も決めていきます。企業内の状況を考慮し、どれくらいの期間で策定するのか、どのような役割分担で行うのかも詳細に決めていきましょう。
3.策定スケジュールの決定
続いて、策定スケジュールの決定を行います。情報セキュリティポリシーの策定には社内の様々な部署が関わるため、スケジュール通りに策定できているかなどの途中経過の確認も必須です。
4.基本方針の策定
次に、基本方針を策定します。情報セキュリティ対策の目標や目標達成のために何をしなくてはいけないのか等を明確に決めていく非常に重要なフェーズだといえるでしょう。
5.情報資産の洗い出し、リスク分析とその対策
基本方針の策定後は、企業内の情報資産の洗い出しとリスク分析、リスクに対してどのような対策を行うのかを明確に決めていきます。業務に関するリスクは、普段担当している人にしか分からない部分もあるため、状況に応じて担当者を交えたヒアリングも求められます。
6.対策基準と実施内容の策定
リスク分析、リスクに対しての対策方法を検討したら、対策基準の策定を行います。この対策基準が情報セキュリティポリシーのルールとなります。このルールを基準として、具体的な実施手順を決めていきます。
情報セキュリティポリシーの必要性
情報セキュリティポリシーは企業によって様々な形があり、方針も異なります。セキュリティポリシーを策定しなければ、安全に配慮した正しい手順での業務が行えず、セキュリティ事故に繋がる可能性が高まるでしょう。
この章では、セキュリティポリシーの必要性について解説します。
企業の大切な情報を守る
情報セキュリティポリシーの最大の目的は「企業の大切な資産や情報を守る」ことです。近年、国内・海外問わず悪質なサイバー攻撃が多発している背景もあり、企業にもより厳重なセキュリティ対策が求められるようになりました。また、テレワークの普及など働き方が多様化した背景もあり、現代の働き方に適したセキュリティ対策を行わなければなりません。
セキュリティポリシーを詳細に規定すれば、企業の重要な機密情報や個人情報に関しても安全に運用でき、情報漏洩などのセキュリティ事故も未然に防げるでしょう。
社員のセキュリティ意識を高める
セキュリティ事故を防ぐためには、ルールの策定も重要ですが、社員のセキュリティに対する危機意識も非常に重要です。セキュリティポリシーの策定には、社員一人一人のセキュリティ意識向上にも繋がるメリットがあります。
顧客や取引先からの信頼性を高める
情報セキュリティポリシーを策定することによって、顧客や取引先からの信頼性を高めるメリットもあります。情報漏洩は自社の情報だけではなく、普段取引している企業の情報なども同時に漏れてしまう可能性もあります。そのため、情報セキュリティポリシーを明確に規定しておくことで、安心して取引を進められつつ、信頼性を高められるでしょう。
まとめ
一度、セキュリティ事故を起こしてしまうと、経済的な損失だけではなく、顧客との取引停止や社会的な信頼低下に繋がる可能性があります。企業内で「セキュリティポリシー」を規定して運用が浸透すれば、セキュリティ事故の防止に繋がります。企業の大切な資産を守るためにも、企業全体で情報セキュリティポリシーを策定していきましょう。
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漏洩チェッカー 編集部
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