デジタル化が進む現代のビジネス環境において、サイバー攻撃は企業にとって大きな脅威となっています。最新の攻撃手法や対策について知ることは、経営者や管理職にとって重要な課題といえるでしょう。本記事では、サイバー攻撃の実態と企業が取るべき対策について、分かりやすく解説します。

サイバー攻撃の定義と現状

デジタル化を推進する企業にとって、サイバー攻撃への対策はますます重要性を増してきました。サイバー攻撃への対策を実施するに当たっては、まずサイバー攻撃の定義や、近年のサイバー攻撃の動向について知っておく必要があるでしょう。

サイバー攻撃とはどういったものなのか、そして日々進化し続けるサイバー攻撃の動向について解説します。

サイバー攻撃とは

サイバー攻撃とは、インターネットなどのネットワークを介して、コンピューターシステムや情報端末を標的とした悪意ある行為のことです。その目的は多岐にわたり、金銭や個人情報の窃取、システム機能の停止など、さまざまな形態があります。

近年、スマートフォンの普及によりオンラインショッピングや銀行取引が日常化し、攻撃対象が大幅に拡大しています。同時に、AIやIT技術の進化に伴い、攻撃手法も高度化・巧妙化しており、企業の規模を問わず被害が広がっています。

サイバー攻撃は現代のビジネス環境における重大な脅威となっており、適切な対策を講じることが急務となっています。

近年のサイバー攻撃の動向

サイバー攻撃の手法は日々進化し、企業にとって常に警戒が必要です。近年の傾向として、テレワーク環境を狙った手口が増加しています。

総務省の発表によると、令和3年の不正アクセスの認知件数は1,516件で、前年の2,806件より1,290件も減少しました。不正アクセスの認知件数は減少傾向にあるものの、一般企業を標的とした攻撃は依然として多く、油断できない状況が続いています。

特に近年は、AIを活用した高度な攻撃やIoTデバイスを狙った攻撃が注目されています。

このような状況を踏まえると、サイバーセキュリティは単なるIT部門だけの問題ではなく、経営課題として捉える必要があるでしょう。

サイバー攻撃の中には、被害者の気付かないうちに甚大な被害を与えるタイプのものもあり、「うちの会社は大丈夫」と思っていても、実は知らないうちに攻撃を受けているかもしれません。

出典:不正アクセス行為の発生状況 | 総務省

主なサイバー攻撃の種類と手口

サイバー攻撃にはさまざまな種類がありますが、ここでは企業が特に注意すべき代表的な攻撃について解説します。これらの攻撃手法を知ることで、自社の脆弱性を把握し、効果的な対策を講じましょう。

マルウェアによる攻撃

マルウェアとは、コンピューターに害を及ぼす悪意のあるソフトウェアの総称です。ウイルスやワーム、トロイの木馬などが含まれます。ニュースなどでよく見るサイバー攻撃といえば、マルウェアを指すことが多いです。

マルウェアは、メールの添付ファイルや不正なWebサイトを通じて侵入し、データの窃取や破壊を引き起こします。

例えば、営業部門のパソコンがマルウェアに感染し、顧客情報が流出するケースがあります。これは、取引先との信頼関係を損なうだけでなく、個人情報保護法違反にもつながる可能性があります。

ランサムウェアの脅威

ランサムウェアは、システムやデータを人質に取り、身代金を要求する悪質なマルウェアです。感染すると、重要なファイルが暗号化され、業務が麻痺してしまう恐れがあります。

医療機関や自治体など、社会インフラを担う組織でもランサムウェア被害が報告されており、その影響は甚大です。

病院のシステムがランサムウェアに感染すると、患者の診療記録にアクセスできなくなり、適切な医療サービスの提供が困難になります。

標的型メール攻撃

標的型メール攻撃は、特定の組織や個人を狙って行われる高度な攻撃手法です。攻撃者は、本物のメールに見せかけた巧妙な偽装メールを送り、受信者をだましてマルウェアを実行させたり、機密情報を入力させたりします。

実際にある手口として、取引先を装ったメールで、請求書の確認を求める内容に偽装するケースや、顧客からのファイル共有を装うようなケースがあります。

標的とする企業を先に調べておき、関係者を装って偽装するため、従来の迷惑メールと比べると開封率が高く、うっかり添付ファイルを開いてしまうと、マルウェアに感染してしまうというものです。

フィッシング詐欺

フィッシング詐欺は、実在する企業やサービスの正規サイトを装った偽サイトに誘導し、ログイン情報やクレジットカード番号などの個人情報を盗み取る手法です。

金融機関を装ったフィッシングメールは特に多く、「セキュリティ強化のため」と称して、偽サイトでの情報入力を求めてきます。一見すると本物のサイトと見分けがつかないほど精巧に作られているケースも多いので要注意です。

対策としては、URLを確認する習慣をつけることが重要です。また、不審なリンクをクリックしない、個人情報の入力を求められたら公式サイトから直接アクセスする、などの基本的な注意点を従業員に周知しましょう。

関連記事:詐欺サイトはどうやって見分ける?特徴や被害、防止対策などを解説

Emotet(エモテット)

Emotetは、近年特に猛威を振るっている高度なマルウェアです。主にメールを介して感染し、一度感染すると他のマルウェアをダウンロードさせる二次被害をもたらす可能性があります。

例えば、取引先とのメールのやりとりの途中に、Emotetが作成した偽のメールが紛れ込み、マルウェア入りの添付ファイルを開かせる、といった手口が報告されています。アンチウイルスソフトでも検知がされにくいのが厄介な点です。

対策としては、送信元のメールアドレスを細かくチェックすることや、添付ファイルを開く前に送信者に確認の連絡を入れるなど、慎重な対応が求められます。

サイバー攻撃により企業が被る被害

サイバー攻撃は企業に深刻な影響を与えます。ここでは、具体的にどのような被害が想定されるのかを交えて解説します。被害の大きさを理解することで、セキュリティ対策の重要性がより明確になるでしょう。

金銭的な損失

サイバー攻撃による直接的な金銭的損失は、企業経営に大きな打撃を与えます。

大手企業でも被害に遭った例があり、何十万件もの個人情報を盗まれた被害も報告されています。顧客情報が流出した場合、損害賠償の支払いや訴訟対応のコストが発生するケースもあるでしょう。

加えて、システムの復旧や脆弱性の修正、セキュリティ強化のための投資など、間接的なコストも無視できません。これらの予期せぬ出費は、特に中小企業にとっては致命的な打撃となる可能性があります。

顧客の喪失・信用低下

サイバー攻撃による情報流出は、企業の信用を大きく損ない、顧客離れを引き起こす可能性があります。特に個人情報を扱う業種では、その影響は深刻です。

BtoB企業においても、取引先の機密情報が流出すれば、その信頼関係は一瞬にして崩れ去ってしまいます。一度失った信頼を取り戻すのは、並大抵のことではありません。

信用回復のためには、誠実な対応と透明性の高い情報開示が不可欠です。また、再発防止策を明確に示し、着実に実行していくことが求められます。平常時から、情報セキュリティ方針を策定し、それを社内外に公表しておくことも、信頼維持につながるでしょう。

事業・サービスの停止

サイバー攻撃により、システムがダウンしたり、データが破壊されたりすると、事業やサービスの停止を余儀なくされる場合があります。

これは、売り上げの減少だけでなく、顧客満足度の低下にもつながります。例えば電子商取引サイトがDDoS攻撃(攻撃対象に大量のアクセスを行いサービス提供を妨害する攻撃)を受けてサービスが停止すれば、その間の売り上げはゼロになってしまいます。提供しているサービスが復旧まで使えなくなるため、その間の補填などを顧客から求められることもあるでしょう。

復旧作業や補填にかかる費用は、企業に甚大な被害をもたらす可能性があります。

サイバー攻撃を防ぐための施策

サイバー攻撃の脅威から企業を守るためには、包括的なセキュリティ対策が不可欠です。ここでは、企業が取るべき具体的な施策について解説します。

OS・ソフトを常に最新に保つ

OSやソフトウェアを最新の状態に保つことは、サイバーセキュリティの基本中の基本です。多くの攻撃は、既知の脆弱性を狙って行われるからです。

例えば、2017年に世界中で猛威を振るったランサムウェア「WannaCry」は、Windowsの古いバージョンの脆弱性を突いて感染を広げました。この攻撃は、適切にアップデートを行っていれば防ぐことができたのです。

特に、複数の部署や拠点がある場合は、統一的なアップデートポリシーを策定し、確実に実行することが重要です。IT管理者は、各端末のアップデート状況を一元管理できるツールの導入も検討しましょう。

社内サーバーへのアクセス権限を管理

社内サーバーへのアクセス権限の適切な管理は、内部からの情報漏洩や、外部からの不正アクセスを防ぐ上で非常に重要です。

これは社員にアイパスを共有するといった単純なものではなく、役職や権限ごとのアクセスの制限や、デバイスによるログイン制限、休職者・退職者のアクセス権限を停止するといった措置も含まれます。

退職者の権限をそのままにしておくと、万が一退職者からログイン情報が漏れたとき、原因を特定することが非常に困難になってしまいます。社内サーバーへのアクセス権限は、慎重に管理することが求められます。

社員教育とマニュアルの徹底

サイバーセキュリティ対策において、最も重要なのは「人」です。どんなに高度なセキュリティシステムを導入しても、それを使う人間が適切に対応できなければ意味がありません。

例えば、ある企業では、フィッシングメールに気付かずにリンクをクリックしてしまった従業員が、会社の機密情報を流出させてしまいました。これは、適切な教育があれば防げたかもしれません。

定期的な研修の実施や実践的な訓練により、セキュリティに関する情報や意識を教育することが重要になります。特に、経営層や管理職が率先して研修に参加し、セキュリティの重要性を示すことが大切です。「うちの会社は大丈夫」という過信は禁物です。常に新しい脅威に備える姿勢を全社で共有しましょう。

また、セキュリティ対策の一環として、マニュアルを作成して守るよう徹底しましょう。サイバー攻撃の多くは個人の不用意な行動に起因することがあり、マニュアルを守ることで防止につながります。

最新のセキュリティソフトの導入

最新のセキュリティソフトを導入することは、サイバー攻撃から企業を守る上で非常に重要です。ただし、導入すれば安心というわけではありません。適切な設定と運用が不可欠です。

セキュリティソフトを選ぶ際は、以下の点に着目しましょう。

  • 企業規模や業種に適したソフトか
  • 定期的なアップデートの実施はあるか
  • 警告メッセージの適切な対応
  • サポート体制は十分か

予算の関係で全社的にセキュリティソフトの導入が難しい場合は、「漏洩チェッカー」がおすすめです。漏洩チェッカーは、必要なセキュリティ機能を選択することができるため、費用を必要最低限に抑えることができます。

Web操作やソフトウェア、ログインやログオフなど、Webに関する従業員の行動を監視することが可能です。コスト面でセキュリティソフトの導入を悩んでいる場合、まずは漏洩チェッカーへお問い合わせください。

漏洩チェッカー

万が一サイバー攻撃に遭ってしまったら?

サイバー攻撃は、万全の対策を講じていても完全に防ぐことは難しいのが現実です。攻撃を受けてしまった場合、迅速かつ適切な対応が被害を最小限に抑える鍵となります。ここでは、サイバー攻撃を受けた際の対応手順について解説します。

被害状況の把握と感染経路を特定する

まず最初に行うべきは、被害状況の正確な把握です。どのシステムがどの程度影響を受けているのか、どのデータが危険にさらされているのかを迅速に特定する必要があります。

被害状況把握のポイントは以下の通りです。

  • ログの確認:不審なアクセスや動作を洗い出す
  • ネットワークトラフィックの分析:異常な通信を特定する
  • エンドポイントの調査:マルウェアの存在を確認する
  • データの整合性チェック:改ざんや暗号化の有無を確認する

専門的な知識が必要な作業も多いため、社内に十分なスキルがない場合は、速やかに外部の専門家に相談することをおすすめします。また、迅速な行動が捕れるように、万が一の場合の手順をマニュアル化しましょう。

感染端末をネットワークから切り離す

被害状況を把握したら、次は感染端末をネットワークから切り離す作業を行います。ネットワークから切り離すことで、感染端末からの被害を防ぐ事が可能です。

ただし、むやみに機器の電源を切ったり、ネットワークケーブルを抜いたりすると、重要な証拠を失う可能性があります。また、ネットワークを経由して端末を移動するタイプのウイルスの場合、感染端末の遮断だけでは被害を防げないこともあるでしょう。

専門家の助言を受けながら、慎重に作業を進めることが重要です。

警察やセキュリティ会社にすぐに相談する

サイバー攻撃は犯罪です。被害に遭った場合は、速やかに警察に通報しましょう。身代金を要求された場合なども、まずはお金を払わずに捜査機関に連絡を取ることが先決です。

また、個人情報の漏洩が疑われる場合は、個人情報保護委員会への報告も必要になります。法的な対応が必要になる場合もあるため、顧問弁護士への相談も検討しましょう。

個人情報保護委員会 - PPC |個人情報保護委員会

適切なセキュリティ対策でサイバー攻撃を防ぐ

サイバー攻撃は日々進化し、その手口も巧妙化しています。しかし、適切な対策を講じることで、そのリスクを大幅に軽減することができます。

重要なのは、セキュリティ対策を一過性のものではなく、継続的な取り組みとして捉えることです。技術的な対策はもちろん、従業員教育や組織全体のセキュリティ意識の向上が不可欠です。

サイバーセキュリティ対策は、コストではなく投資だと考えることが大切です。適切な対策を講じることで、事業継続性を高め、顧客からの信頼を獲得し、競争優位性を確保することができます。サイバー攻撃の脅威から企業を守り、安全で持続可能なビジネス環境を構築することが、これからの時代には不可欠なのです。

低コストでセキュリティ対策を始めるなら

  • 「セキュリティ対策が求められているが、予算が限られている」
  • 「ひとり情シス状態で、管理負担が大きい」

こうしたお悩みを抱える中小企業の方は多くいらっしゃいます。

予算やリソースが限られている企業では、市販のパッケージソフトが高額で、オーバースペックになりがちです。

弊社の「漏洩チェッカー」は、PC端末の台数や必要な機能に応じて契約内容を調整できるため、コストを抑えながら最適なセキュリティ対策を実現します。

ITの専門知識がなくても簡単に操作できるシンプルな管理画面を備えており、運用負担が少ない点も「漏洩チェッカー」の特徴です。

まずは無料で資料をダウンロードしてお確かめください。

漏洩チェッカー:https://stmn.co.jp/roei-checker/
運営会社:株式会社スタメン(東証グロース市場4019)

著者情報

漏洩チェッカー 編集部

従業員が安心して働ける環境を提供するための、IT資産管理、情報漏洩対策、労務管理に関するコンテンツを発信しています。

漏洩チェッカーは、株式会社スタメンが運営する、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)およびプライバシーマーク(Pマーク)を取得しているクラウドサービスです。東京証券取引所グロース市場上場。