リモートワークの普及やIT管理業務の負担増加に伴い、多くの企業がPCのライフサイクル管理(PC-LCM)の重要性を認識するようになっています。PC-LCMを適切に導入することで、IT管理の効率化やセキュリティリスクの軽減が図れ、業務全体のパフォーマンス向上にもつながります。PC-LCMの導入方法には、外部委託と社内対応の選択肢があり、企業のニーズやリソースに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。本記事では、PC-LCM導入のパターン、メリット・デメリット、選定方法などを詳しく解説します。
目次
PC-LCMとは?
PC-LCM(Personal Computer Life Cycle Management:PCライフサイクル管理)とは、PCの調達や運用保守、廃棄までの各プロセスの管理業務を最適化するためのサービスのことです。
企業でPCを導入する際には、製品の選定や初期設定、PCの入れ替えによる廃棄作業など、手間がかかる作業が多く発生します。 また、テレワークが普及して、会社のPCを持ち帰って家で仕事を行う機会が増えたこともあり、オフィス外のPCも同時に管理しなければいけなくなりました。そのため、以前よりもPC管理の負担は増加したと言えるでしょう。
PC-LCMは、これらの管理業務を可視化し、システムを通じて企業内のPCを効率的に管理できます。また、PCのライフサイクルを可視化することで、TCO(Total Cost of Ownership:コスト総額)の削減にも繋げられます。PC-LCMはPCの管理が煩雑化しやすい現代において、導入する企業が増えています。
参照:PCLCM(PCライフサイクル管理)とは?PCの調達から廃棄までをシステム化|IT情報メディアサイト idearu(アイディアル)
PCライフサイクル管理の5つのプロセス
PCのライフサイクルは「計画」「購買・調達」「初期設定・キッティング」「運用」「廃棄」の5つのプロセスが存在します。 ここでは、それぞれのプロセスの内容・ポイントについて解説します。
参照:クライアントPC LCMサービス | JBサービス株式会社
【1】計画
自社にどのようなPCが必要なのかを明確にするため、社内でのヒアリングを実施し、導入計画を立てます。 社内の現状を把握した上で、各部門ごとに必要なPCのスペックが明確になったら、PC調達に必要な予算や導入スケジュール、情報システム部門で準備すべき作業内容など、具体的な導入計画を作成します。こうすることで、その後のプロセスをスムーズに進める事ができます。
【2】購買・調達
次に、社員が業務で利用するPCの購買・調達を行います。 企業の利用目的に適しているか、スペックは十分に足りているかなど、多角的に検討した上で企業に適したPCを提案していきます。 PCを選定する際には、PCの製品知識はもちろん、予算等も考慮しなければなりません。
【3】初期設定・キッティング
PCを選定したら、購入したPCの初期設定・キッティングを行います。 初期設定・キッティングのプロセスでは、PCや周辺機器の設置や設定、ウイルス対策ソフトのセットアップなどの作業がメインになります。PCを業務で利用できるように、1台1台設定を行っていきます。 加えて、社員ごとにIDを割り当てて、ソフトウェアやアプリケーションを利用するための準備も必要です。
【4】運用
PCのキッティングが完了したら、業務を行えるようになります。 実際に社員がPCを利用する中で、PCの不具合などが発生した場合、即座に対応しなければなりません。 また、IDやパスワードの失念やソフトウェア・アプリケーションの使い方など、従業員からの問い合わせに対してもスピーディーな対応が求められます。
【5】廃棄
メンバーの異動・増員により、古いPCを廃棄しなくてはいけないケースは必ず出てくるでしょう。 業務で使うPCは、個人情報や機密情報など重要なデータが含まれているため、使い終えたPCを回収して必ずデータ消去を行わなければなりません。データを完全に消去しておかないと、データの流出・悪用などに繋がる恐れがあるためです。 PC内のデータを消去する方法は、ソフト消去や物理破壊、磁気破壊といった方法が存在します。
PC-LCMの選択肢
近年、多くの企業がPC-LCMサービスを導入していますが、運用方法は「外注する」か「社内で対応する」の2つに分けられます。
外注する
PC-LCMサービスを外部に委託する際には、「実績があるか」「自社が求めるサービスに対応しているか」「予算は適正か」の3点を確認した上で、自社に適したサービスを選んでいきましょう。 基本的なPCの選定から管理、保守、廃棄までの対応内容はどのサービスも大きく変わりません。 企業によって必要なサービスは異なるため、例えば、社内にIT部署がない場合、サポート体制が充実しているサービスがおすすめです。対応可能な業務については事前に確認しておきましょう。
社内で対応する
小規模な事業所やパソコンの台数が少ない場合には、社内での対応が可能です。PC-LCMを社内で管理することで、メンテナンスやトラブル対応をスムーズに進められるという利点があります。さらに、自社の人材を活用することで、運用コストを抑えることも期待できます。
しかし、社内対応にはいくつかの課題もあります。担当者の負担が増えるだけでなく、高度なスキルや専門知識を持つ人材がいない場合には、運用が難しくなる可能性がある点が懸念されます。
PC-LCMサービスを外注する際のポイント
PC-LCMサービスでは、下記3つのポイントを抑えてください。
サービスの範囲を確認する
業者ごとに対応可能なデバイスや提供するサービスは異なるため、自社が求めるサービスを受けられるかどうかを確認することが重要です。 特に、導入に関しては、設定可能なOSや作業範囲が自社のニーズと一致していなければなりません。そのほかにも、修理対応の有無やヘルプデスクの設置が可能などサービス内容の詳細もしっかり確認しておきましょう。
実績を確認する
外注する業者を選ぶ際に、委託先の技術者のスキルや技術はもちろん、実績があるかどうか確認することも重要です。実績の豊富な業者であれば、安心して運用を任せられるだけでなく、トラブルが発生した際にも適切な対応を期待できます。口コミサイトなどにも目を通しておきましょう。
セキュリティ体制を確認する
PC-LCMを導入するとPC・社用携帯の管理が簡単になる一方、セキュリティ面が委託先に依存する点に注意が必要です。あらかじめ、自社のセキュリティポリシー・セキュリティレベルに対応できる業者を選定することが重要です。
PC-LCMサービスを外注するメリット・デメリット
メリット | ・PCの管理負担を軽減する ・社用携帯の管理負担を軽減する ・別の業務にリソースを割けられる |
デメリット | ・費用がかかる |
PC-LCMサービスを外注するメリットは、工数がかかるPC管理の負荷を軽減できる点です。 大企業の場合、社員が利用するPCの台数も増加するため、管理の負担は大きくなります。またテレワークの普及に伴い、Web会議ツールやファイル共有サービスなど、新しいツールが増えたことで、情報システム部門への問い合わせが増えた会社も多いのではないでしょうか。
加えて、PC以外のスマートフォンやタブレットなど、業務で利用するデバイスが増えたことも、管理の負担が増えた要因だと言えます。 PC-LCMサービスを導入することで、これらの管理業務を軽減しつつ、煩雑になりやすいPC管理のプロセスを一元管理できます。管理の負担が軽減した分、別の業務にリソースを集中させられるでしょう。
PC-LCMサービスを外注するデメリットは、費用が掛かる点です。サービスを選定する際には、自社の規模や予算等を考慮した上で検討するようにしましょう。
参照:全国情シス実態調査2021 | インターネットイニシアティブ(IIJ)
社内でPC-LCM対応する
情報システム部の専門担当者
社内でPC-LCM対応をする場合、情報システム部で対応するパターンと総務部などで他業務と兼任しながら対応するパターンがあります。 情報システム部の担当者が対応する場合、自社のPCやITサービスに関する知識が豊富なため、どの管理業務でもスムーズに対応できるメリットがあります。また、社員からの問い合わせに対しても、専門知識を活かして迅速に対応できるでしょう。
総務等他業務との兼任担当者
社員数が少ない企業の場合、総務部などの他部署でPC-LCMサービスを兼任するといったケースもあります。 迅速に対応できるメリットがありますが、通常業務に加えてPC管理も行うため、管理責任者の負担が非常に大きくなるでしょう。
社内でPC-LCM対応するメリット・デメリット
メリット | ・費用を抑えて運用できる |
デメリット | ・PCの管理負担が大きい ・社用携帯の管理負担が大きい |
社内でPC-LCM対応するメリットは、費用を抑えて運用できる点です。特に管理するべきPCが少ない場合は、社内で管理する方が効率的になることもあるでしょう。
デメリットは、管理しなくてはいけないPCが多い場合、管理負担が大きくなってしまう点です。
エクセル管理の限界とIT資産管理ツール
PCの管理は、エクセルを用いて行うことが多いのではないでしょうか。しかし、管理するPCが多くなればなるほど、管理が煩雑になったり、運用負荷が増えたり、生産性を下げる要因にもなってしまいます。 ここでは、エクセル管理のデメリットとIT資産管理ツールのメリットについて解説します。
エクセルでのPC管理が限界を迎えるとき
PC管理をエクセルで行う際には、PCの状況を実際に見て確認した上で表を更新する必要があるため、非常に手間がかかります。
特にメンバーの増減が多く発生する企業の場合は、その都度更新作業が発生します。また、PCの管理が適切に行われていない場合、重大なセキュリティ事故に繋がる可能性が高くなります。二重でチェックを実施する必要があるため、人員コストもかかります。
IT資産管理ツールのメリット
IT資産管理ツールとは、企業内のハードウェア(PC)やソフトウェア(アプリやデータ)など、ITに関連する資産を管理するツールのことです。 おすすめツールとして「漏洩チェッカー」をご紹介します。
ハードウェア資産管理機能
端末のOSやデバイス情報を自動的に取得し、管理画面で一括管理することができます。管理者用のメモやカスタム項目も設定可能で、デバイスの使用状況を正確に把握し、効果的なIT資産管理が可能です。
ソフトウェア資産管理機能
各端末にインストールされているソフトウェアの一覧を自動で取得し、管理画面上で一元的に管理できます。バージョンやインストール日、ライセンス情報を把握し、ソフトウェアの更新や契約管理が容易に行えるため、セキュリティリスクの低減にも繋がります。
企業内のPCを一元管理できるようになるため、PC管理の工数削減や管理業務の負荷軽減など様々なメリットを得られます。 さらに、コンプライアンスやセキュリティの強化にも繋がります。
関連記事:
「漏洩チェッカー」とは
「漏洩チェッカー」サービス資料
まとめ
PC-LCMとは、PCの調達や運用保守、廃棄までの各プロセスの管理業務を最適化するためのサービスです。 運用方法は、外注して対応してもらうか、社内で対応するか、この2つになります。
PC-LCMを外注することで、PC管理の負荷を軽減できるメリットがあります。さらに、コンプライアンスやセキュリティの強化にも繋がります。
社内でPC-LCM対応をする場合、管理業務の負担は大きくなりますが、費用は抑えられます。 PCなどのIT資産は、企業が責任をもって厳重に管理しなければなりません。
近年、企業のPCやデバイスを狙った悪質なサイバー攻撃が増加しています。 会社の資産を守るために、適切な管理を行っていきましょう。
関連記事:
社内PC管理の3つのポイント、管理方法、ソフト5選を解説
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著者情報
漏洩チェッカー 編集部
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