XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃は、企業のウェブサイトやアプリケーションを狙う深刻な脅威です。本記事では、XSS攻撃の仕組みや具体的な被害事例を解説し、企業が取るべき対策を詳しく紹介します。セキュリティ意識の向上から具体的な防御策まで、XSS攻撃から企業を守るための包括的なガイドを提供します。  

クロスサイトスクリプティング(XSS)とは?

XSS攻撃は、企業に甚大な被害をもたらす可能性があります。情報漏洩、フィッシング詐欺、そして企業の信用失墜など、その影響は広範囲に及びます。

XSSの仕組みをわかりやすく解説

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、攻撃者が悪意のあるスクリプトをウェブページに挿入し、ユーザーのブラウザ上でそのスクリプトを実行させる攻撃手法です。この攻撃は、ウェブアプリケーションの脆弱性を悪用して行われます。

XSS攻撃の基本的な流れは、まず攻撃者が脆弱性のあるウェブサイトを特定することから始まります。次に、その脆弱性を利用して悪意のあるスクリプトを挿入します。その後、被害者がそのウェブページにアクセスすると、被害者のブラウザが悪意のあるスクリプトを実行し、攻撃が成功します。

このような攻撃は、ウェブサイトの入力フォームやURL、Cookie、そしてHTTPヘッダーなど、様々な経路で実行される可能性があります。そのため、ウェブアプリケーションの開発者は、あらゆる入力ポイントでのセキュリティ対策を講じる必要があります。

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XSS攻撃の具体的な例と手口

XSS攻撃には主に3つのタイプがあります。反射型、格納型、DOM型です。それぞれの特徴と具体例を見てみましょう。

①反射型XSS(Reflected-XSS):攻撃者が作成した悪意のあるURLをユーザーがクリックすると、サーバーがそのスクリプトを含んだレスポンスを返し、ユーザーのブラウザで実行されます。
②格納型XSS(Stored XSS):悪意のあるスクリプトがウェブサイトのデータベースに保存され、そのページにアクセスした全てのユーザーに影響を与えます。
③DOM型XSS(DOM Based XSS):クライアントサイドのスクリプトが悪用され、ページのDOM構造が変更されることで攻撃が行われます。

XSS攻撃に対しては、入力値の適切な検証やエスケープ処理、安全なJavaScriptの使用など、複数の層での対策が必要です。

XSS攻撃が引き起こす深刻な被害

XSS攻撃は、企業に甚大な被害をもたらす可能性があります。情報漏洩、フィッシング詐欺、そして企業の信用失墜など、その影響は広範囲に及びます。どのような被害があるのかを以下に見ていきましょう。

企業・顧客情報の漏洩

XSS攻撃によって、企業の機密情報や顧客の個人情報が外部に漏洩するリスクがあります。攻撃者は、ユーザーのセッションをハイジャックしたり、フォームに入力された情報を盗み取ったりすることができます。

具体的には以下のような情報が危険にさらされる可能性があります。

・ユーザーのログイン認証情報
・クレジットカード情報
・個人識別情報(氏名、住所、電話番号など)
・企業の内部文書や機密データ

これらの情報漏洩は、金銭的損失だけでなく、法的責任や規制違反のリスクも引き起こす可能性があります。特に、データ保護規制が厳しくなっている現在、情報漏洩は企業にとって深刻な問題となります。

ユーザーがフィッシング詐欺などの被害にあう

XSS攻撃は、フィッシング詐欺の踏み台としても利用されます。攻撃者は、正規のウェブサイトに偽のログインフォームを挿入し、ユーザーの認証情報を盗み取る可能性があるのです。

この手口では、まず攻撃者がXSS脆弱性を利用して、偽のログインフォームを挿入します。ユーザーが信頼している正規サイト上に、その偽フォームが表示されるため、ユーザーは気づかずに認証情報を入力してしまいます。その結果、入力された情報が攻撃者に送信されてしまうのです。

このような攻撃により、フィッシング詐欺をはじめとした犯罪に利用され、ユーザーの金銭的損失や個人情報の悪用につながる可能性があります。

企業に対する信用の失墜

XSS攻撃による被害は、企業の評判や信頼性に深刻なダメージを与える可能性があります。セキュリティ侵害が公になると、顧客離れや株価への悪影響、パートナー企業との関係悪化などが起こりかねません。

特に大規模な攻撃の場合、メディアに大々的に報道されることで、企業イメージが著しく低下する恐れがあります。また、上場企業の場合、セキュリティ侵害のニュースが株価の下落を招く可能性も高くなります。

さらに、取引先や提携企業が、セキュリティリスクを懸念して関係を見直す可能性もあります。信頼回復には多大な時間と労力、そして費用がかかるため、XSS攻撃を未然に防ぐことが、企業の評判と持続的な成長にとって重要です。

XSS攻撃の被害事例

XSS攻撃は、大企業から中小企業まで、様々な規模の企業に影響を与えています。実際の被害事例を見ることで、その深刻さと対策の重要性を理解することができます。

YouTubeの被害事例

2010年7月、動画共有プラットフォームのYouTubeがXSS攻撃の標的となりました。この攻撃では、デマニュースに誘導されたり、コメントが表示されなくなるなどの被害が確認されました。

YouTubeは迅速に対応し、脆弱性を修正しましたが、この事例は大規模プラットフォームでもXSS攻撃のリスクがあることを示しています。

ユニクロの被害事例

2020年9月、日本の大手アパレル企業ユニクロがXSS攻撃を受けました。Androidアプリ「ユニクロアプリ」に脆弱性が認められ、注意喚起が行われました。

ユニクロのAndroidアプリにアクセスした場合、ユーザーの意思に関わらず別のサイトにアクセスしてしまうといった被害が確認されています。こうした攻撃により、ユーザーの個人情報が抜かれたり、フィッシング詐欺などの被害に遭ったりする可能性が懸念されます。

幸いにも、この脆弱性は早期に発見され、実際の被害報告はありませんでした。しかし、この事例は、ユーザー生成コンテンツを扱うウェブサイトにおけるXSS対策の重要性を浮き彫りにしました。ECサイトでは、顧客の個人情報や決済情報を扱うため、セキュリティ対策は特に重要です。

43万件の顧客データが流出した事例

2022年1月、約80社が利用するSaaSのサーバーがXSSによる攻撃を受け、約43万件の顧客データが流出するという深刻な事態が発生しました。この事例は、XSS攻撃が引き起こす可能性のある最悪のシナリオの一つです。

この顧客データの中には、クレジットカード情報も含まれている可能性があり、クレジットカードの不正利用があったこと、ECサイトへの不正アクセスなどが確認されています。

この事態を受けて、企業は被害者への個別連絡と謝罪、補償対応、セキュリティ体制の全面的な見直し、関係当局への報告と対応を強いられました。

この事例は、XSS攻撃が単なる技術的な問題ではなく、企業の存続にも関わる重大な脅威であることを示しています。

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XSS攻撃への対策

XSS攻撃から企業を守るためには、技術的対策だけでなく、組織全体でのセキュリティ意識の向上が不可欠です。ここでは、効果的なXSS対策の方法を紹介します。

XSS攻撃の危険性を従業員に周知する

XSS攻撃対策の第一歩は、全従業員がその危険性を理解することです。セキュリティは技術者だけの問題ではなく、組織全体で取り組むべき課題です。

効果的な周知方法として、XSS攻撃に対応するマニュアルや資料の作成が挙げられます。技術的な詳細よりも、XSS攻撃の基本的な仕組みと潜在的な影響を重点的に説明することが重要です。

また、社内メールやイントラネットを活用し、最新のセキュリティ脅威について定期的に情報を発信することも有効です。

さらに、実際のXSS攻撃事例を用いて、その影響と対策の重要性を具体的に示すことで、従業員の理解を深めることができるでしょう。

従業員一人一人がXSS攻撃の危険性を認識することで、日常業務における警戒心が高まり、セキュリティインシデントの早期発見・報告にもつながります。

定期的なセキュリティ研修を実施する

セキュリティ意識を持続的に高めるには、一度きりの周知では不十分です。定期的な研修を通じて、従業員のスキルとナレッジを継続的に更新することが重要になります。

効果的な研修プログラムには、役割別研修が含まれます。開発者、マーケティング担当者、管理職など、役割に応じた内容を提供することで、それぞれの立場でのセキュリティ対策の重要性を理解してもらいます。

また、ハンズオン形式の研修も有効です。実際にXSS脆弱性を探索・修正する演習を行うことで、実践的なスキルを養うことができます。さらに、新しい攻撃手法や防御技術について、最新情報を提供することも重要です。

定期的な研修は、セキュリティ知識の更新だけでなく、組織全体のセキュリティ文化を醸成する上でも重要な役割を果たします。

セキュリティシステムを導入する

技術的な対策として、XSS攻撃を検知・防御するセキュリティシステムの導入が効果的です。これらのシステムは、人的ミスによるリスクを軽減し、24時間体制での監視を可能にします。

また、脆弱性スキャナの導入も効果的です。定期的なスキャンを実施することで、新たに見つかった脆弱性を早期に発見し、対処することができます。

さらに、侵入検知システム(IDS)や侵入防止システム(IPS)の導入も検討に値します。これらのシステムは、ネットワークトラフィックを監視し、不審な活動を検知または防止することができます。XSS攻撃に関連する不正なトラフィックパターンを識別し、セキュリティチームに警告を発することが可能となるでしょう。

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XSS対策で企業の未来を守る

XSS攻撃は、企業のウェブセキュリティにとって重大な脅威であり、適切な対策を講じなければ深刻な被害をもたらす可能性があります。しかし、本記事で紹介した対策を実施することで、そのリスクを大幅に軽減することができるでしょう。

XSS攻撃への対策は単なるコストではなく、企業の未来への投資です。適切なセキュリティ対策を講じることで、顧客の信頼を獲得し、競争力を高めることができます。

セキュリティを企業文化の一部として根付かせ、安全なデジタル環境を構築することが、今日のビジネス環境では不可欠です。

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著者情報

漏洩チェッカー 編集部

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