Webアプリケーションを狙うサイバー攻撃の中でも、特に巧妙で被害が深刻なのがCSRF攻撃です。ユーザーの意図しない操作を引き起こし、情報漏洩や不正送金などの被害をもたらします。本記事では、CSRF攻撃の仕組みと企業が受ける被害、そして具体的な対策方法を解説します。適切な対策を施すことで、企業の資産と信頼を守り、安全なビジネス環境を構築しましょう。

CSRF(クロスサイトリクエストフォージェリ)攻撃とは

企業のIT化が進む中で、サイバー攻撃の種類も増えています。CSRF攻撃は、多くの企業が見落としがちな脆弱性を狙う手法です。CSRFの対策を講じるためにも、CSRFとは何か、その仕組みと特徴を理解することから始めてみましょう。

Webアプリの脆弱性を悪用するサイバー攻撃

CSRF(Cross-Site Request Forgery)攻撃は、Webアプリケーションの脆弱性を悪用する巧妙なサイバー攻撃の一種です。この攻撃の特徴は、ユーザーが正規のWebサイトにログインした状態で、攻撃者が用意した罠のサイトにアクセスすることで発生します。

攻撃者は、ユーザーの認証情報(セッションIDなど)を利用して、ユーザーになりすまし、本人の意図しない操作をWebアプリケーション上で実行します。

例えば、パスワードの変更や商品の購入、送金などの重要な操作が、ユーザーの知らないうちに行われてしまうのです。

CSRF攻撃が特に危険なのは、正規のサイトにログインしているため、不正な操作が行われても、それが攻撃によるものだと判断するのが難しい点です。そのため被害の発覚が遅れ、気がついたときには対処が難しくなっているケースもあります。

CSRF攻撃の流れ

CSRF攻撃の典型的な流れは以下のようになります。

【1】ユーザーが正規のWebサイトにログインします。

【2】ログイン状態のまま、別のタブで悪意のあるWebサイトを開きます。

【3】悪意のあるサイトには、正規サイトへのリクエストを自動的に送信するコードが仕込まれています。

【4】ユーザーの操作なしに、正規サイトへリクエストが送信されます。

【5】正規サイトは、有効なセッションからのリクエストと判断し、処理を実行します。

この一連の流れが、ユーザーの気づかないうちに数秒で完了してしまいます。攻撃の成功率を上げるため、攻撃者はしばしば短縮URLやSNSの投稿などを利用して、ユーザーを罠のサイトに誘導します。

CSRF攻撃を受けやすいサイトの特徴

CSRF攻撃を受けやすいWebサイトには、いくつかの共通した特徴があります。以下の特長に自社が当てはまっていないかを確認しましょう。

・セッション管理が甘い:ログイン後の操作において、追加の認証やチェックが不十分なサイトは攻撃のリスクが高くなります。

・重要な操作がGETメソッドで実装されている:パラメータがURLに含まれるGETメソッドは、CSRF攻撃の標的になりやすいです。

・Refererチェックがない:リクエスト元のURLを確認していないサイトは、不正なリクエストを見分けることができません。

・CSRF対策トークンを使用していない:リクエストの正当性を確認するためのトークンを実装していないサイトは、攻撃を受けやすくなります。

これらの特徴を持つサイトは、早急にセキュリティ対策を見直す必要があります。

CSRF攻撃が企業に与える被害

CSRF攻撃は、企業に深刻な被害をもたらす可能性があります。具体的にどのような被害が想定されるのか、詳しく見ていきましょう。

ユーザー情報が勝手に変更される

CSRF攻撃により、ユーザーの重要な情報が攻撃者によって変更されてしまう可能性があります。例えば、ログインパスワードやメールアドレス、住所などの個人情報が書き換えられるケースが考えられるでしょう。

これらの情報が変更されると、正規のユーザーがアカウントにアクセスできなくなったり、重要な通知が攻撃者の管理下にあるメールアドレスに送信されたりする可能性があります。

結果として、顧客の信頼を失うだけでなく、個人情報保護法違反などの法的問題にも発展しかねません。

企業は、ユーザー情報の変更操作に対して特に厳重なセキュリティ対策を施す必要があります。

不正送金される

金融機関やECサイトなど、金銭の取引を扱うWebサービスにとって、CSRF攻撃による不正送金は最も深刻な被害の一つです。攻撃者は、ユーザーの認証情報を利用して、本人になりすまし、別の口座やアカウントに資金を転送することができます。

この種の攻撃は、被害額が大きくなる可能性があり、企業の財務に重大な影響を与える可能性があります。また、顧客の資産が失われることで、企業の信頼性が著しく損なわれ、ビジネスの継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

金融取引を扱うWebサービスは、多層的なセキュリティ対策を実施し、不正な送金リクエストを確実に検出・ブロックする仕組みを構築する必要があります。

情報が外部に漏洩する

CSRF攻撃は、企業の機密情報や顧客の個人情報を外部に漏洩させる手段としても悪用されます。攻撃者は、管理者権限を持つアカウントを標的にし、情報の閲覧や抽出を行う操作を不正に実行する可能性があります。

例えば、顧客データベースのダウンロード、機密文書の外部メールアドレスへの送信、バックアップデータの作成と転送などの操作が、管理者の意図しないところで実行されてしまうような被害事例が、過去に報告されています。

情報漏洩は、企業の評判を著しく損ない、顧客離れや訴訟リスクにつながる懸念もあります。さらに、個人情報保護法や各種業界規制への違反となり、罰金や行政処分の対象となることもあるため、十分に注意しなければなりません。

SNSやブログアカウントを乗っ取られる

CSRF攻撃により、SNSやブログのアカウントが乗っ取られると、深刻な問題が発生します。

攻撃者は、乗っ取ったアカウントを使用して、虚偽の情報を投稿したり、不適切なコンテンツを共有したりする可能性があります。

また、乗っ取られたアカウントを通じて、フィッシング詐欺やマルウェアの拡散が行われる可能性も捨てきれません。企業のフォロワーやファンが二次被害を受け、企業の信頼性が著しく損なわれるリスクがあります。

SNSアカウントの管理には、強力なパスワードの使用や二段階認証の導入など、追加のセキュリティ対策が必要です。また、アカウント操作の監視と、不正アクセスの早期発見・対応のための体制づくりも重要となります。

CSRF攻撃の被害事例

CSRF攻撃は理論上の脅威ではなく、実際に多くの企業や個人に被害をもたらしています。ここでは、日本で発生した代表的な被害事例を紹介します。

2012年「パソコン遠隔操作事件」

2012年に日本で大きな話題となった「パソコン遠隔操作事件」は、CSRF攻撃が悪用された代表的な事例です。Yahooニュースはこちら

この事件では、攻撃者が不特定多数のパソコンを遠隔操作し、犯行予告や爆破予告などの書き込みを行いました。その結果、パソコンを乗っ取られた被害者が、警察に誤認逮捕される事態にまで発展したのです。

犯人が逮捕されたのは翌年のことであり、事件の収束まで半年以上もかかった長期的な事件となりました。

2005年「はまちちゃん事件」

2005年頃、ソーシャル・ネットワーキングサイトの「mixi」で、URLをクリックすると勝手に「ぼくはまちちゃん!」というタイトルで日記がアップされてしまうという現象が多発しました。もちろんこれは、ユーザーの意図した行動ではありません。

その後の運営の対応が不十分であったことなどにも批判が寄せられ、事件のこともそうですが、ソーシャルメディアのセキュリティについても大きな話題となりました。

CSRF攻撃を防ぐ方法

CSRF攻撃は深刻な被害をもたらす可能性がありますが、適切な対策を講じることで防ぐことができます。ここでは、効果的なCSRF対策の方法を具体的に解説します。

リクエストの照合を強化する

CSRF攻撃を防ぐ最も効果的な方法の一つが、リクエストの照合を強化することです。具体的には、以下のような対策が有効です。

■ CSRF対策トークンの使用: 各セッションやフォームに対して一意のトークンを発行し、リクエスト時にこのトークンを検証します。正規のフォームから送信されたリクエストのみが有効なトークンを持つため、不正なリクエストを排除できます。

■ ダブルサブミット Cookie: フォームの送信時に、Cookie内の値とフォームパラメータの値を比較します。両者が一致した場合のみリクエストを処理することで、外部サイトからの不正なリクエストを防ぐことができます。

■ SameSite Cookie属性の利用: CookieにSameSite属性を設定することで、異なるドメインからのリクエスト時にCookieの送信を制限できます。これにより、CSRF攻撃のリスクを大幅に軽減できます。

これらの方法を組み合わせることで、より堅牢なCSRF対策を実現できます。

Refererヘッダでリンク元を確認する

Refererヘッダを利用してリクエストの発信元を確認することは、CSRF攻撃の防止に有効な手段の一つです。サーバー側でRefererヘッダを検証し、正規のドメインからのリクエストのみを受け付けるよう設定することで、不正なリクエストを排除できます。

ただし、一部のブラウザやセキュリティソフトではRefererヘッダが送信されない場合があるため、これだけを唯一の対策とすることは避けるべきです。

また、HTTPSからHTTPへのリクエスト時にRefererヘッダが省略される仕様もあるため、サイト全体をHTTPS化することが望ましいでしょう。Refererヘッダの確認は、他の対策と組み合わせて使用することで、より効果的なCSRF対策となります。

セキュリティソフトを導入する

セキュリティソフトの導入は、CSRF攻撃を含む多様なサイバー脅威から企業を守るための重要な施策です。

最新のセキュリティソフトは、CSRF攻撃の特徴的なパターンを検知し、不審なリクエストをブロックする機能を備えています。

また、定期的なセキュリティスキャンにより、Webアプリケーションの脆弱性を発見し、早期の対策を可能にします。ただし、セキュリティソフトの導入だけでは完全な防御は難しく、適切な設定や運用、そして定期的なアップデートが不可欠です。

さらに、従業員のセキュリティ意識向上と組み合わせることで、より効果的な防御体制を構築できます。

特にCSRF攻撃には、不正アクセスの検知やアラートが立てられるソフトがおすすめです。「漏洩漏えいチェッカー」は、そのような機能を備えたツールですので、CSRF攻撃対策として十分な効果が見込めます。

他にも、様々なセキュリティ機能があります。セキュリティツールの導入を検討しているなら、「漏洩チェッカー」を検討してみてはいかがでしょうか。

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CSRF対策は企業の未来を守る重要な投資

CSRF対策は、単なるセキュリティ対策以上の意味を持つ、企業の未来を守る重要な投資です。適切な対策を講じることで、顧客データの保護、企業の信頼性維持、法的リスクの回避が可能となります。

また、セキュリティ対策の強化は、取引先や投資家からの信頼向上にもつながり、ビジネスチャンスの拡大にも寄与します。

従業員のセキュリティ意識向上を通じて、組織全体のリスク管理能力を高めることができます。CSRF対策への投資は、短期的なコストではなく、企業の持続的成長と競争力強化のための戦略的施策として捉えるべきです。

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