テレワークを導入する際に、従業員の勤務状況や生産性への不安から、監視の必要性を感じている経営者や人事担当者も少なくありません。しかし、どこまでの監視が許されるのでしょうか?本記事では、テレワーク監視の法的な側面や従業員への影響、そして効果的な監視のポイントについて解説します。
目次
テレワーク中の監視はどこまで許される?
テレワークにおける監視は、法律や倫理面での配慮が必要です。ただし、適切に行えば生産性向上や業務改善にもつながります。ここでは、監視の法的な側面と従業員への影響について見ていきましょう。
テレワークにも労働基準法が適用される
テレワークであっても、オフィスでの勤務と同様に労働基準法が適用されます。
例えば、労働時間の管理や休憩時間の確保など、基本的な労働条件はテレワーク中でも守る必要があります。また、労働基準法では労働場所を明示しなければなりません。自宅やサテライトオフィスなど、テレワークを行う場所についても明確にしましょう。
加えて始業・終業時刻の記録、時間外労働の管理、深夜労働の把握などが求められます。これらを適切に管理するため、勤怠管理システムの導入や定期的な報告制度の確立が効果的です。
ただし、監視の方法によっては従業員のプライバシーを侵害する可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
出典:テレワークにおける 適切な労務管理のためのガイドライ ン | 厚生労働省
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プライバシーを尊重する必要がある
テレワーク中の従業員のプライバシー保護は、非常に重要な課題です。自宅など私的空間での勤務が増えるテレワークでは、従来の職場以上にプライバシーへの配慮が求められます。
例えば、Webカメラによる常時監視や、従業員のPCの画面キャプチャの頻繁な取得は、プライバシー侵害のリスクが高いといえるでしょう。代わりに、業務の開始・終了時刻の報告や、定期的な進捗確認など、必要最小限の監視にとどめることが望ましいです。
また、従業員の同意を得ずに個人情報を収集することは避けるべきです。監視の目的や収集する情報の範囲を明確にし、従業員との合意形成を図ることが重要です。
常時カメラをオンにしたままにすると、生活音や家の中での会話が入ったり、部屋の様子が映し出されることがあります。この度を超えた監視は、プライバシー侵害となる可能性があります。
法的に問題はなくても従業員のモチベーションを下げる可能性もある
過度な監視は、たとえ法的に問題がなくても、従業員のモチベーションを下げる可能性があります。特に、優秀な人材ほど、過剰な監視を不快に感じる傾向があります。
例えば、監視カメラを細かくチェックしたり、逐一進捗を報告させたりといった方法は、過度な緊張を与え、強いストレスをかける可能性が高まります。先述した通り、生活音や家での会話が入ってしまうような監視の仕方では、従業員はプライバシーを侵害されていると感じる場合もあり、離職につながる可能性も否定できません。
むしろ、成果主義的な評価システムの導入や、定期的な1on1ミーティングの実施など、従業員との信頼関係を築く取り組みに注力することで、自発的な生産性向上を促すことができるでしょう。
そもそも監視する必要はあるのかを検討する材料
テレワークにおける監視の必要性は、各企業の状況によって異なります。ここでは、監視を行うメリット・デメリットと、監視の目的を明確にすることの重要性について考えてみましょう。
テレワークで監視を行うメリット
テレワークでの監視には、いくつかのメリットがあります。まず、業務の進捗状況を可視化できることで、プロジェクト管理が容易になる点が挙げられるでしょう。
例えば、タスク管理ツールを導入することで、各従業員の作業状況をリアルタイムで把握し、必要に応じてサポートを提供できます。
また、労働時間の正確な把握により、長時間労働の防止や適切な休憩時間の確保が可能になります。これは従業員の健康管理にもつながり、長期的には生産性の向上にも寄与するでしょう。
セキュリティ面でも、機密情報の取り扱いや不正アクセスの防止など、リスク管理に役立ちます。
テレワークで監視を行うデメリット
一方で、監視にはデメリットも存在します。最も大きな問題は、従業員との信頼関係が損なわれる可能性があることです。過度な監視は、「信頼されていない」という感覚を従業員に与え、モチベーションの低下や職場の雰囲気の悪化を招く恐れがあります。
また、監視システムの導入・運用にかかるコストや、データ管理に伴うセキュリティリスクも考慮する必要があります。
加えて、監視方法によってはプライバシーの侵害やハラスメントにつながってしまうケースも高く、関係する従業員に対して適切な教育の実施やマニュアルの作成も行わなければなりません。
これらのデメリットを慎重に検討し、監視の必要性と方法を判断することが重要です。
監視を行う目的を明確にすることが重要
単に「従業員を管理したい」という漠然とした理由では、効果的な監視は難しいでしょう。監視を行う際は、その目的を明確にすることが極めて重要です。
例えば、業務効率の向上が目的であれば、単純な労働時間の監視よりも、タスク管理ツールを活用した進捗の可視化がより効果的かもしれません。
また、セキュリティリスクの軽減が目的であれば、VPNの利用やデータアクセスログの管理など、より具体的な対策を検討できるでしょう。
目的を明確にすることで、適切な監視方法の選択や、従業員への説明がしやすくなります。定期的に監視の効果を検証し、必要に応じて方法を見直すことも大切です。
監視をうまく行うポイント
テレワークにおける監視を効果的に行うには、いくつかのポイントがあります。ここでは、監視の目的・範囲の共有、従業員の合意形成、多面的な評価、そしてリソース配分について見ていきましょう。
目的・範囲の共有
監視の目的と範囲を従業員と共有することは、信頼関係を維持する上で非常に重要です。なぜ監視が必要なのか、どのような情報を収集するのか、そしてそれらの情報をどのように活用するのかを明確に説明しましょう。
例えば、「業務効率の向上と適切な労働時間管理のために、勤怠管理システムを導入します。これにより、皆さんの働き方を可視化し、より良い職場環境づくりに生かしていきたいと考えています」といった具合に、ポジティブな意図を伝えることが大切です。
また、監視の範囲についても具体的に説明しましょう。「業務用PCの使用状況を確認しますが、個人的な通信内容は一切閲覧しません」など、プライバシーへの配慮を明確にすることで、従業員の不安を軽減できるでしょう。
監視する従業員の合意を得る
監視を行う際は、必ず従業員の合意を得ることが重要です。これは単なる倫理的配慮だけでなく、法的リスクを回避する上でも必要な手続きです。
合意を得る方法としては、就業規則への明記や個別の同意書の取得などがあります。例えば、「テレワーク時の勤務状況確認のため、業務用PCの操作ログを取得することに同意します」といった内容の同意書を用意し、署名してもらうといった方法が考えられます。
ただし、同意を強制するのではなく、従業員からの質問や懸念に丁寧に対応することが大切です。また、監視方法の変更や新たな情報収集を行う際は、再度合意を得る必要があることも忘れてはいけません。
多面的な要素で成果を判断する
テレワークでは、従来のように「どれだけ長く席に座っていたか」だけでは、仕事の成果を測ることはできません。そこで、様々な角度から成果を評価することが大切になります。
例えば、以下のような要素を組み合わせて評価することを検討しましょう。
- 達成したタスクの数や質
- 締め切りの順守率
- チームへの貢献度
- 顧客満足度
- 新しいアイデアの提案数
管理職による一方的な評価ではなく、従業員自身が自己評価を行うことで、より公平で納得感のある評価が可能となります。
監視に使うリソースも考慮する
監視システムの導入や運用には、それなりのコストがかかります。そのため、監視にかけるリソースと得られる効果のバランスを慎重に検討する必要があります。
例えば、高度な監視システムを導入しても、それを適切に運用・分析する人材がいなければ、投資に見合った効果は得られません。むしろ、シンプルな勤怠管理ツールと定期的な1on1ミーティングの組み合わせなど、低コストで効果的な方法を選択することも一案です。
また、監視にかける時間やエネルギーが、本来の業務や生産性向上の取り組みを圧迫していないか、定期的に見直すことも大切です。監視そのものが目的化してしまわないよう、常に本来の目的を意識しましょう。
監視は従業員との信頼関係が重要
テレワークにおける監視の最終的な目的は、生産性の向上と健全な労働環境の維持です。しかし、これらは監視だけで達成できるものではありません。むしろ、従業員との信頼関係こそが、テレワーク成功の鍵となるのです。
過度な監視は逆効果となる可能性が高いため、まずは従業員を信頼し、自律的な働き方を促すアプローチを検討しましょう。例えば、明確な目標設定と定期的なフィードバック、オープンなコミュニケーションチャネルの確保、チーム間の協力を促す仕組みづくりなどが効果的です。
また、直接監視をしなくても、セキュリティツールの導入で従業員の仕事の状況などを把握することが可能です。「漏洩チェッカー」のスクリーン監視機能は、定期的にPC画面のスクリーンショットを保存します。
また、「ログオン&ログオフ監視機能」は、PCログを使った勤怠管理の機能で、正確な稼働時間を算出します。自己申告制の勤怠管理と併用することで、テレワーク中の無駄な残業や不正な労働の防止につながります。
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著者情報
漏洩チェッカー 編集部
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