デジタル化が進む現代のビジネス環境において、企業の機密情報を守ることは最重要課題の一つです。DLP(Data Loss Prevention)は、特に情報漏洩決策として注目を集めています。本記事では、DLPの基本から導入メリット、選定のポイントまで詳しく解説します。情報セキュリティ対策について調査、ツールの導入を考えている方は参考にしてみてください。
目次
DLPとは何か
社内システムのデジタル化に伴い、クラウド上でデータを管理する企業も増えてきました。デジタル化を進めている企業にとって大きな課題の一つに、セキュリティ対策があります。特に、情報漏洩対策は必須です。
クラウド上で扱うデータは共有がしやすい分、セキュリティが脆弱だと簡単に持ち運びができてしまいます。このような課題の解決策として近年注目を集めているのがDLPです。
なぜ、DLPが注目を集めているのでしょうか。その定義や必要性、注目されるに至った背景についてまずは解説します。
DLPの定義と必要性
DLP(Data Loss Prevention)は、企業の機密情報や重要データを自動的に特定し、常時監視・保護するシステムです。その特徴は、データの内容そのものを監視し、不適切な外部流出を検知してアラートを発するところにあります。
近年、企業における情報漏洩被害が増加しており、その多くが意図的ではないヒューマンエラーなど内部要因によるものです。
DLPは、このような内部からの情報漏洩に効果的な対策となります。例えば、従業員が誤って機密文書を個人のメールに添付しようとした際、DLPがそれを検知して送信をブロックするといった具合です。
こうした機能により、DLPは単なるセキュリティツールではなく、企業の情報資産を守る重要な防衛線として注目を集めています。
DLPがなぜ注目されているのか
DLPが注目されている要因として、多くの企業がDXを推進していることが挙げられるでしょう。
クラウドサービスの普及やリモートワークの一般化により、企業の情報セキュリティリスクが増大しているのです。例えば、在宅勤務の従業員がクラウド上の顧客情報にアクセスする機会が増えており、従来の対策だけでは十分とは言えません。
また、内部からの情報漏洩リスクに対しても、人的対応だけでは限界があり、DLPによる自動化された監視・制御が効果的です。
国際的に情報資産管理の重要性が高まっており、日本においても、情報資産の適切な管理が行われていることを証明する国際基準である「CC(ISO/IEC 15408=情報セキュリティ製品及びシステムの国際評価基準)」などの認証取得が求められる中、DLPはその要件を満たす強力なツールとして注目されています。
参考:CC(ISO/IEC 15408)概説 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
DLPの主要機能
DLPにはさまざまな機能がありますが、ここでは主要な四つの機能について詳しく見ていきましょう。これらの機能を理解することで、DLPの役割や用途が明確になります。
デバイス制御
デバイス制御は、USBメモリやスマートフォンなどの外部デバイスの使用を効果的に管理・制限する機能です。
例えば、社内PCにUSBメモリを接続しても、許可されたデバイス以外ではデータの読み書きができないよう設定したり、社内で使用するPCやデバイスを一元管理し、インストールされているアプリやソフトウェアを監視することで、不正アクセスやマルウェア感染を早期に検知し、適切な対応を取ることができます。
従来の方法では、セキュリティ対策として外部デバイスの使用を完全に禁止する企業もありましたが、DLPのデバイス制御機能を使えば、デバイス自体を保護しながら利用できるため、セキュリティと業務効率の両立が可能になります。
Webサイトに対するフィルタリング
Webフィルタリングは、従業員が危険なWebサイトにアクセスすることを防ぎ、情報漏洩リスクを低減する機能です。
フィッシングサイトや不正なファイルのダウンロードサイト、さらにはSNSなど、業務外で情報漏洩の原因となり得るサイトへのアクセスを制御できます。
この際、従業員の役割に応じてアクセス権限を細かく設定可能です。広報担当者には業務上必要な掲示板やSNSへのアクセスを許可する一方、他の従業員にはそれらへのアクセスを制限するといったことを行えます。
メール内容の情報規制
送信されるメールの内容を自動的にチェックし、機密情報の送信を防止する機能です。
具体的には、「社外秘」とマークされた文書が添付されたメールや、個人情報が含まれるメールなど、企業ポリシーに反するメールが外部の人間に送信されるのを自動的にブロックすることができます。
通常のメールのやりとりに支障を来すことなく、セキュリティリスクの高いメールだけを選別してブロックや警告を行えるのが、この機能の大きな強みです。
日常的なコミュニケーションを妨げることなく、情報漏洩リスクを大幅に低減できます。
社内情報に関するアクセス制限
この機能は、従業員の役職や部署に応じて、アクセスできる情報を細かく設定することができます。
例えば、店舗ごとの売上データへのアクセスを、その店舗の管理者と本社の特定部署のみに制限するといった使い方が可能です。アクセス権限を制限することで、アクセス権限のない内部の人間や第三者が情報にアクセスすることができなくなります。
さらに、アクセス制限によって、関係者だけが情報を見られるようになるため、資料作成や情報共有がスムーズになり、業務効率の向上にもつながります。
アクセス制限機能は、必要な人に必要な情報だけを提供することで、情報の安全性を高めると同時に、業務の効率化にも貢献するのです。
企業がDLPを導入するメリット
DLPの導入により、通常のセキュリティソフトではできないことがDLPで行うことが可能です。ここでは、DLP導入の具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
情報漏洩を効果的に防止できる
DLPの最大のメリットは情報漏洩の防止です。機密情報の外部流出を自動的に検知し、ブロックすることで、企業の重要な資産を守ることができます。
情報漏洩の防止は、企業の評判やブランド価値を守ることにもつながります。一度、大規模な情報漏洩事故を起こせば、その影響は計り知れません。DLPは、そんなリスクから企業を守る強力な盾となるのです。
リアルタイムで異常を検知できる
従来の情報漏洩対策では、発生後に過去ログから検証するなど、基本的には事後対応でしたが、DLPはリアルタイムに異常を検知できるため、素早く対応できる点が大きなメリットと言えるでしょう。
このような即時対応は、被害の拡大を防ぐだけでなく、問題の根本原因をすぐに特定し、対策を講じることができるという点でも非常に有効です。
リアルタイム検知は、企業のセキュリティ対策を受動的から能動的へと進化させる重要な機能だと言えるでしょう。
人的ミスによる漏洩を防止できる
情報漏洩の多くは、実は意図的なものではなく、従業員の単純なミスによるものです。DLPは、このような人的ミスによる情報漏洩を効果的に防ぐことができます。
例えば、クライアントの機密情報を誤って別のクライアントに送信してしまうというミスが発生してしまうことがあります。
しかし、DLPを導入後は、宛先と添付ファイルの内容を自動チェックし、不適切な送信を事前に防止できます。
また、DLPは単にミスを防ぐだけでなく、従業員のセキュリティ意識向上にも貢献します。例えば、機密情報の取り扱いに関する警告メッセージを表示することで、従業員に慎重な行動を促すことができるのです。
人的ミスの防止は、企業の信頼性向上にもつながります。クライアントや取引先に対して、確実な情報管理を示すことができれば、ビジネスチャンスの拡大にもつながるでしょう。
管理コストと負担を軽減できる
DLPの導入は、一見すると新たな負担に思えるかもしれません。しかし実際は、長期的に見れば管理コストと負担を大幅に軽減できるのです。
DLP導入前は、各店舗の情報管理状況を人手で確認する必要があったとしても、DLP導入後は自動的に全店舗の情報管理状況をモニタリングできるようになり、管理工数を大幅に削減することができます。
また、セキュリティインシデントが発生した際の対応コストも考慮する必要があります。DLPによって事前に問題を防げれば、インシデント対応にかかる時間とコストを大幅に削減できます。さらに、コンプライアンス対応も容易になり、監査対応の負担も軽減できるのです。
DLPツールを比較するポイント
DLPツールの導入を検討する際、どのような点に注目して比較すればよいのでしょうか。ここでは、DLPツール選定の際の重要なポイントについて詳しく見ていきましょう。
情報検出の範囲
DLPツールを選ぶ際、まず注目すべきは情報検出の範囲です。企業が保護したい情報の種類や保存場所に応じて、適切な検出範囲を持つツールを選ぶ必要があります。
例えば、主にOfficeドキュメントを扱う企業であれば、Word、Excel、PowerPointなどのファイル形式に対応したDLPツールが必要でしょう。
一方、プログラミングコードなども保護したい場合は、より広範囲のファイル形式に対応したツールを選ぶ必要があります。
また、クラウドサービスの利用状況も考慮に入れましょう。最近では、GoogleドライブやOneDriveなどのクラウドストレージも検出範囲に含める必要があるケースが増えています。
自社の情報資産の保管状況を十分に把握した上で、適切な検出範囲を持つDLPツールを選びましょう。
含まれている機能
DLPツールに含まれる機能も、重要な選定ポイントの一つです。基本的な情報漏洩防止機能に加えて、どのような付加機能が必要かを検討しましょう。
従業員の行動分析機能があれば、不審な操作をリアルタイムで検知し、内部不正を未然に防ぐことができます。また、レポート作成機能が充実していれば、経営層への報告や監査対応がより容易になるでしょう。
最近では機械学習やAIを活用した高度な検知機能を持つDLPツールも登場しています。これらは、従来の定型的なルールベースの検知では捉えきれなかった新たな脅威にも対応できる可能性があります。
社内のニーズと照らし合わせて、必要十分な機能を持つDLPツールを選びましょう。
ただし、機能が多ければよいというわけではありません。使いこなせない機能が多すぎると、かえって運用負荷が高まる可能性もあるので注意が必要です。
管理・サポート体制
DLPツールの導入後の管理やサポート体制も、重要な選定ポイントです。いくら優れたツールでも、適切に管理・運用できなければ、その効果を十分に発揮することはできません。
例えば、管理画面の使いやすさはどうでしょうか。複雑すぎる管理システムは、運用担当者の負担を増やし、結果としてセキュリティレベルの低下につながる可能性があります。
また、ベンダーのサポート体制も重要です。問題が発生した際に迅速に対応してくれるか、日本語でのサポートが受けられるかなどを確認しておきましょう。
加えて定期的なアップデートやパッチ適用の容易さも確認しておくべきポイントです。セキュリティ対策は日々進化する脅威に対応し続ける必要があるため、ツールの更新が簡単に行えることは重要です。
DLP選定時の重要なポイント
これまでの内容を踏まえ、DLP選定時の重要なポイントをまとめてみましょう。適切なDLPツールを選ぶことは、情報セキュリティ対策の成功に直結します。
まず、自社の業務プロセスとの親和性を考慮することが重要です。例えば、頻繁に外部とのファイル共有が必要な業種であれば、柔軟な設定が可能なDLPツールが適しているでしょう。一方、厳格な情報管理が求められる金融機関などでは、より厳密な制御が可能なツールが必要かもしれません。
次に、将来的な拡張性も考慮に入れましょう。企業の成長に伴い、保護すべき情報の種類や量が増加する可能性があります。そのため、スケーラビリティの高いDLPツールを選ぶことが賢明です。
既存のセキュリティ対策との連携も重要なポイントです。例えば、すでに導入しているセキュリティ情報イベント管理(SIEM)ツールとの連携が容易なDLPツールを選べば、より包括的なセキュリティ体制を構築できます。
さらに、コストパフォーマンスも忘れてはいけません。初期導入コストだけでなく、運用コストや将来的なアップグレード費用なども含めて総合的に評価しましょう。安価なツールを選んだはいいものの、運用コストが高くついてしまっては本末転倒です。
DLPは高価なツールのため、導入後にミスマッチにならないよう、選定時は十分な調査を行いましょう。
DLPの導入でセキュリティを向上させる
DLPの導入は、企業の情報セキュリティを大きく向上させる強力な手段です。しかし、ツールを導入すれば全て解決するわけではありません。効果的なDLP運用のためには、組織全体でのセキュリティ意識の向上が不可欠です。
ただしDLPの導入費用は安価ではないため、導入したくても予算の関係でできない企業もあるかもしれません。その場合におすすめなのが「漏洩チェッカー」です。
漏洩チェッカーはDLPと同じようにファイル操作のログの監視やアラート機能があります。必要な機能を選ぶことができるため、予算に合わせて最適化が可能です。
情報漏洩対策の手段を検討している方は、ぜひ漏洩チェッカーの導入をご検討ください。
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著者情報
漏洩チェッカー 編集部
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