2024年5月に育児・介護休業法が改正され、育児や介護を行う労働者に対する支援が強化されることが発表されました。

育児・介護休業法では、大きく分けて以下の3分野の改正が予定されています。

  • 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
  • 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
  • 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

この改正の目的は、育児や介護を担う従業員が安心して仕事を続けられる環境を整えることにあり、特に「テレワーク」の導入が事業主に対する努力義務として課されることが注目されています。

テレワークの普及は、労働環境の柔軟化を促進し、育児・介護との両立を図るだけでなく、離職率の低下や企業の生産性向上に寄与することが期待されています。

この記事では、改正の概要とともに、テレワークの努力義務化がどのような影響を与えるかについて詳しく解説します。

育児・介護休業法の改正の概要

今回の育児・介護休業法の改正は、少子高齢化が進む中で、家庭内での育児・介護の負担を軽減し、労働者が働き続けやすい環境を作ることを目的としています。特に、女性が多く担っている育児や介護の負担が原因でキャリアを中断することが社会問題化しており、この課題を解消するための具体的な施策が求められていました。

育児・介護休業法の改正内容は、大きく以下の3つの分野に分けられます。

子の年齢に応じた柔軟な働き方の措置の拡充

3歳以上の子を育てる従業員に対し、働き方の柔軟性を高める制度を整備することが求められています。これには、テレワークの導入やフレックスタイム制の拡充が含まれ、従業員が育児と仕事を両立できる環境を整えることが重要です。

育児休業取得状況の公表義務の拡大と次世代育成支援対策の強化

企業に対して、従業員の育児休業取得状況を公開することが義務化され、育児に対する支援体制の透明性が求められるようになりました。また、次世代育成支援に関する取り組みも強化され、企業はその対応をしっかりと示す必要があります。

介護離職防止のための支援制度の強化

高齢化が進む中で、介護を理由に離職するケースが増加しており、これを防ぐための両立支援制度が強化されました。企業は、介護を担う従業員が働き続けられるよう、フレキシブルな働き方を提供することが求められます。

テレワークの努力義務化とその影響

2024年の育児・介護休業法改正によって、テレワークの導入が事業主に対する「努力義務」として明確に規定されました。この改正により、企業はテレワーク環境を整備する責任が生じ、従業員が家庭と仕事の両立を図れるよう柔軟な働き方を提供する必要があります。特に育児や介護を行う従業員に対して、テレワークは非常に効果的な支援策となり得ます。この改正によって生じる影響について、以下の観点から詳しく見ていきます。

離職率の低下

テレワークの導入は、従業員の離職を防ぐための重要な施策となります。特に、育児や介護のために時間的制約を受ける従業員が、柔軟な働き方ができるようになることで、仕事を続けやすくなります。従来、育児や介護を理由に離職するケースが多く見られましたが、特に女性の離職率が高いことが大きな問題でした。これには、育児や介護を支える制度が整っていないことが要因の一つとして挙げられます。

テレワークの導入により、従業員がオフィスに出勤せずとも仕事ができる環境が整備されることで、家庭の事情による離職が減少します。特に、通勤時間の短縮や職場の制約が軽減されるため、フルタイムでの就業が難しい従業員にも働き続ける選択肢が広がります。これにより、企業は有能な人材を長期的に確保し、育成にかけたコストの無駄を減らすことができると考えられます。

さらに、企業がテレワーク制度を導入し、育児や介護を支援することで、従業員のエンゲージメントが高まり、働く意欲を維持することにもつながります。こうしたエンゲージメントの向上は、離職率の低下だけでなく、企業の組織力強化にも寄与します。

生産性の向上

テレワークは、従業員の生産性向上にも大きな影響を与えます。従来、毎日の通勤によって時間と体力が消耗されることが多く、生産性の低下や疲労の蓄積が問題視されていました。特に都市部においては、長時間の通勤が従業員のパフォーマンスに悪影響を与えることが明らかになっています。

テレワークの導入により、従業員は通勤時間を削減し、その時間を労働時間や自己管理に充てることができます。これにより、従業員はより効率的に業務に取り組むことができ、パフォーマンスが向上する可能性があります。また、テレワーク環境では、従業員が自分に合ったペースで仕事を進められるため、集中力が高まり、業務の質が向上することが期待されます。

さらに、テレワークの導入は、業務のデジタル化やITインフラの整備を促進するため、従業員間の情報共有や業務プロセスが効率化される可能性もあります。これにより、チーム全体の連携がスムーズになり、組織全体の生産性が向上します。

企業のイメージ向上

テレワークの積極的な導入は、企業の外部イメージの向上にもつながります。特に育児や介護といった個人の事情に柔軟に対応する企業は、従業員に優しい企業としての評価を受けやすくなり、これが採用活動にも良い影響を与えます。特に優秀な人材ほど、働き方の柔軟性を重視する傾向が強く、テレワークを導入している企業は、こうした人材を引き付けやすくなります。

また、テレワーク導入企業としての姿勢を打ち出すことは、社会的な責任を果たしているというアピールにもなります。特にSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、柔軟な働き方を推進する企業は、社会的な評価が高まり、ブランド力の向上につながります。

さらに、従業員が働きやすい環境を整備することで、従業員の満足度やモチベーションが向上し、結果として企業内の雰囲気や労働環境が改善されることも期待できます。これにより、企業全体としてのパフォーマンスが向上し、業績の拡大にもつながるでしょう。

テレワーク実施における課題

育児・介護休業法の改正に伴い、テレワークの努力義務化が進む中、多くの企業がこれからテレワークの導入を検討しています。しかし、テレワークの実施には多くの課題が存在し、企業はこれらを解決するための準備が必要です。以下では、主な課題とその解決策について解説します。

テレワークにおけるセキュリティリスクの増大

テレワークの普及により、外部から社内システムにアクセスする機会が増え、情報漏洩のリスクが高まります。特に、公共のWi-Fiを使っての通信や個人所有デバイスの使用は、脆弱性を生じさせやすいです。これに対する対策として、通信を暗号化するVPNの導入や、多要素認証(MFA)を用いることで、セキュリティを強化することが求められます。

デバイス管理とセキュリティポリシーの徹底

テレワーク環境では、従業員が使用するデバイスの管理が重要です。企業は、業務に使用するデバイスに関するセキュリティポリシーを明確に定め、個人所有デバイスを使用する際の注意点を明確にする必要があります。また、デバイス管理を徹底することで、情報漏洩リスクを抑えられます。

勤怠管理と評価制度の改善

テレワークでは、勤怠管理や労働時間の把握が難しくなり、過剰労働や長時間労働のリスクが高まります。この問題を解決するために、自動で勤務時間を記録する勤怠管理システムの導入が効果的です。さらに、従業員の評価を時間ではなく成果に基づいて行う評価制度を導入することで、テレワークでも公平な評価が可能となります。

育児介護休業法改正に備えるために企業が取るべきアクションプラン

育児介護休業法の改正に伴い、企業が取るべき具体的なアクションプランについて解説します。改正に対応するための準備や計画を立て、従業員にとってより良い労働環境を提供するための方策を考えていきましょう。

法改正に向けた準備と計画の立て方

法改正に向けて、企業はまず自社の就業規則を見直し、改正内容に適合するように調整を行う必要があります。さらに、労働者のニーズに合わせた柔軟な働き方の導入を進め、社内のワークライフバランスを高める施策を計画することが重要です。こうした取り組みを通じて、企業の魅力を高め、従業員の定着率を向上させることが期待されます。

社内での情報共有と従業員への説明のポイント

改正内容を社内でスムーズに共有するためには、労働局が提供するガイドラインを活用することが効果的です。また、従業員に対して改正内容をわかりやすく説明し、今後の労働環境の変化について十分に理解してもらうことも重要です。これにより、従業員は新しい制度を安心して利用できるようになります。

まとめ:育児介護休業法改正とテレワークの重要性

今回の育児介護休業法の改正は、柔軟な働き方を実現し、育児や介護を行う労働者にとって働きやすい環境を提供するための重要なステップです。テレワークの普及や新たな休暇制度の導入によって、従業員のワークライフバランスが大幅に向上することが期待されます。企業としては、法改正を契機にさらなる働き方改革を進め、従業員の生産性向上と企業の成長を両立させる取り組みが求められます。

このように、育児・介護休業法の改正に対応するための具体的な施策を講じることで、企業と従業員の双方にとってメリットのある環境を整えることが可能になります。

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漏洩チェッカー 編集部

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