テレワークの導入が進む中、多くの企業が予想外の課題に直面しています。セキュリティリスクの増大から社員の帰属意識の低下まで、問題は多岐にわたります。本記事では、テレワークの課題を体系的に理解し、DXを推進するための具体的な解決策を提案します。

テレワークの定義と実情

コロナ禍以降、テレワークを導入する企業は増えていますが、テレワークの導入にはセキュリティリスクや社員の監視など、さまざまな課題があり、これらの課題を解決できずに苦労している企業も少なくありません。

テレワークの本質と現状を理解することで、効果的な導入と運用が可能になります。ここでは、テレワークの定義と企業の現状を探ります。

テレワークの定義

テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことです。一般的には在宅勤務がイメージされがちですが、在宅勤務だけでなく、サテライトオフィスの勤務やモバイルワークも含まれます。

例えば、営業部門の社員がカフェでレポートを作成したり、エンジニアが自宅でコーディングを行ったりするのもテレワークの一形態です。

テレワークを導入する企業の現状

総務省が公表している「情報通信白書」を見てみましょう。民間企業におけるテレワーク導入の推移は、2020年ごろを境に大きく増加しました。2019年までテレワークを導入している企業は20.2%でしたが、2020年以降は47.5%にまで増加しています。

そして2022年ごろまでは同水準の導入率を保っており、2023年にはやや減少しましたがそれでもコロナ禍以前と以降では、テレワークの導入率には圧倒的な差があることは明白です。

また、同資料を見ると、アメリカやドイツ、特に中国でのテレワーク・オンライン会議の利用状況の高さに対し、日本はまだ高くはない状況です。

今後、グローバル化が進み国際的な企業と取引が増えていく中では、テレワークの導入率は課題といえるかもしれません。

総務省|令和6年版 情報通信白書|テレワーク・オンライン会議

テレワーク導入に対し企業が抱えている課題

テレワークの導入にはさまざまな障壁があります。ここでは、多くの企業が直面する主要な課題を探り、その背景について解説します。

これらの課題を認識することが、効果的な対策の第一歩です。

セキュリティ・アクセス管理が複雑化する

テレワーク環境下では、社外からの社内システムへのアクセスが必要となり、セキュリティリスクが高まります。

例えば、公共のWi-Fiを使用して機密情報にアクセスしたり、個人所有のデバイスで業務を行ったりすることで、情報漏洩のリスクが増大します。

また、アクセス管理についても複雑化しがちです。自宅で作業をする社員がいる場合、個人PCで仕事をする場合にどこまでアクセス権限を与えるのかなど、管理の仕方についても考えなければなりません。

デジタル化への対応を強いられる

テレワークの導入は、いや応なしにデジタル化を推進することになります。紙の書類や押印の文化が根強い日本企業にとって、これは大きな課題となっています。

クラウドサービスの活用や電子署名の導入が効果的ですが、過去の書類をデジタル化する手間が掛かりますし、デジタルツールを使ったワークフローを構築することが求められます。

業務プロセスそのものを見直し、不要な手続きを廃止するなど、抜本的な改革も検討しましょう。

社員の労働環境を整える必要がある

テレワークでは、社員一人一人の自宅が「オフィス」となります。しかし、全ての社員が快適な作業環境を持っているわけではありません。

狭い部屋で長時間作業を続けることによる健康被害や、家族との時間の切り分けが難しいといった問題が浮上するでしょう。

在宅勤務手当を支給し、デスクや椅子の購入を補助したり、デバイスを企業で支給するなどのサポートが必要になります。

労働環境の整備は、生産性向上だけでなく、優秀な人材の確保・定着にもつながります。社員の声に耳を傾け、柔軟な支援策を検討しなければなりません。

テレワーク運用に対し企業が抱えている課題

テレワークは導入した後も、さまざまな運用上の課題が発生します。運用の課題に対しては継続的な改善が必要です。どのような課題が発生するかを理解し、あらかじめ対策を立てておきましょう。

勤怠管理や労働実態の把握が難しい

テレワークでは、社員の勤務時間や業務内容を把握することが難しくなります。

オフィスワークと異なり、管理者が直接社員の働きぶりを観察することができないため、勤務時間の正確な記録が難しく、業務とプライベートの境界が曖昧になりがちであるという問題が生じやすいのです。

さらに、過剰労働や長時間労働の検知が遅れる可能性があり、社員の健康管理の面でも課題が浮上しています。業務の進捗状況や成果の把握も困難になっており、公平な評価システムの構築に苦心する企業も少なくありません。

これらの課題は、労務管理の複雑化やコンプライアンスリスクの増大につながる可能性があり、企業にとって大きな懸念事項となっています。

関連記事:テレワークにおける労務管理の課題とポイント。ITツールの導入は必須

コミュニケーションが制限される

テレワークにおいて、対面でのコミュニケーションの減少は避けられず、多くの企業がこれに起因する問題に直面しています。

チームの一体感や帰属意識の低下、非言語コミュニケーションの欠如による誤解の増加、偶発的な情報交換の機会の減少など、コミュニケーションに関する課題は多岐にわたります。

特に、新入社員の教育や指導の難しさは多くの企業が抱える共通の悩みとなっています。また、創造性を要する業務やブレインストーミングの効率低下も報告されており、イノベーションの創出にも影響を及ぼす可能性があります。

これらのコミュニケーション課題は、単に情報共有の問題だけでなく、組織の文化や一体感の維持、さらには企業の競争力にも関わる重要な問題として認識されています。

業務効率が低下するリスクがある

テレワーク環境下では、多くの企業が業務効率の低下に悩まされています。

自宅など、オフィスとは異なる環境で働くことによる集中力の維持の難しさや、作業の効率化が困難になるケースが報告されています。家事や育児との両立に苦労する社員も多く、これが業務効率の低下につながっているケースも少なくありません。

また、オフィスにある資料や設備が使えないことで作業が滞るといった問題も発生しています。

加えて、オフィスワークならその場にいる人物に聞けば答えが返ってくるような質問に対し、テキストコミュニケーションの場合、質問の投稿から返信まで時間がかかることも問題として挙げられるでしょう。

これらの課題は、個々の社員の生産性だけでなく、組織全体のパフォーマンスにも大きな影響を与える可能性があり、多くの企業が効果的な対策の模索に苦心しています。

テレワークの課題を解決する施策

テレワークの課題は、適切な施策を講じることで解決可能です。ここでは、具体的な解決策を提案します。施策を自社の状況に合わせてカスタマイズし、段階的に導入していきましょう。

デジタル化のツールを導入する

テレワークの成功には、適切なデジタルツールの導入が不可欠です。リアルタイムコミュニケーションを促進するビジネスチャットツールや、タスクの進捗状況を可視化するプロジェクト管理ツールなど、目的に応じたさまざまなツールが存在します。

デジタル化のツールを効果的に組み合わせることで、社内のコミュニケーションが活性化し、チーム全体の生産性向上につながります。

しかし、ツールの導入だけでは十分ではありません。使用方法の研修を丁寧に行い、全社員が効果的に活用できるようサポートすることが重要です。

また、各ツールの具体的なメリットを示し、社員の自発的な活用を促すことで、より効果的な運用が可能になります。

オンラインで仕事ができるインフラを整備する

テレワークを円滑に進めるには、安定したネットワーク環境とクラウドサービスの活用が欠かせません。

具体例としては、クラウドベースの生産性向上ツールを利用することで、場所を問わず必要な情報にアクセスし、共同作業を行うことが可能になります。

また、テレワークで最も課題となる「社員の勤怠監視」と「アクセス履歴の確認」についても、ツールを活用することで解決可能です。

「漏洩チェッカー」のスクリーン監視は、定期的にPC画面のスクリーンショットを保存します。それを確認することで、社員が仕事をしているのか、個人的なことをしているのかを調べることが可能です。

ログオン&ログオフ監視機能は、社員のシステムに対するアクセスを監視できるため、ログオフ状態であれば、その時間はシステムを使っていないということが分かります。さらに、不審なサイトを訪れた場合に、管理者にアラートで知らせる機能もあります。

業務実態の監視やアクセス対策を考える場合、漏洩チェッカーを活用してみてください。

漏洩チェッカー

このように、用途に合わせた複数のツールを使い、オンラインで仕事ができる環境を整えることで、テレワーク上の課題をある程度解決することができます。

セキュリティポリシー・マニュアルの策定

テレワーク環境下でのセキュリティリスクを最小限に抑えるには、明確なセキュリティポリシーとマニュアルの策定が不可欠です。

公共Wi-Fiの使用に関する規定、個人所有デバイスの業務利用に関するガイドライン、定期的なパスワード変更の義務化など、具体的かつ実行可能なルールを設ける必要があります。

ポリシーの策定時は、IT部門だけでなく、現場の声も取り入れることが重要です。実効性のあるルールを作り、定期的に見直しを行うことで、セキュリティレベルの向上と社員の意識改革を同時に達成できます。

このような取り組みは、テレワーク環境下での情報管理の信頼性を高め、企業の競争力強化にもつながります。

関連記事:情報セキュリティポリシーの雛形(サンプル)を公開

テレワークの導入・運営にセキュリティ対策は必須

テレワークは、働き方改革とDXを推進する上で重要な施策です。しかし、その導入と運用にはさまざまな課題が伴います。セキュリティリスクの増大、コミュニケーション不足、生産性の低下など、これらの課題に適切に対応することが、テレワーク成功の鍵となります。

特に、セキュリティ対策は最重要課題の一つです。セキュリティソフトや監視ツールの導入、セキュリティポリシーの策定など、技術面と運用面の両方から対策を講じる必要があります。また、社員教育を通じて、一人一人のセキュリティ意識を高めることも重要です。

テレワークの課題解決は、単なる「問題の解消」ではありません。これを機に、業務プロセスの見直しや組織文化の変革を進め、より柔軟で生産性の高い働き方を実現する絶好の機会と捉えましょう。

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著者情報

漏洩チェッカー 編集部

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