社内PC管理の3つのポイント

社内PC管理とは

社内PC管理とは、社内にあるすべてのPCの状況を把握することを指します。クライアントPC管理もほぼ同じ意味で、クライアントPCとは、クライアント/サーバーシステムでサーバーから情報を受け取るPCのことを指し、日常で使用しているPC端末と考えて差し支えありません。かつてはPCの所在を明らかにする資産管理的な意味合いが強かったですが、近年ではサイバー攻撃の激化に伴い企業のセキュリティ対策の一環として、PC本体だけでなくPCにインストールされているソフトウェアの管理などにも重点が置かれるようになりました。ここでは、管理のポイントとしてIT資産管理、インベントリ管理、ライセンス管理の3つを紹介します。

1.IT資産管理

IT資産管理とは、PC本体やハードウェア、PCインストールされているソフトウェア、プリンタ、USBメモリなどの周辺機器や無線LANなどのIT資産を管理して、正確に把握することを目的としています。IT資産管理をすることで余計なPCの追加購入や不要なソフトウェアを購入してしまうようなリスクを防ぎ、コスト削減や効率的な資産運用を行うことができます。

2.インベントリ管理

インベントリ管理とは、ハードウェア、ソフトウェア、周辺機器などのIT資産を管理するIT資産管理と合わせて、それらの状態を詳細に一元管理することを指します。管理する項目は、ハードウェアであればCPU、メモリ容量、ディスク容量、IPアドレス(位置情報)、利用状況など、ソフトウェアであればOSアップデートの適用状況やインストール/アンインストールされたソフトウェアの一覧、またその利用状況、それ以外にはシステムログや不正・障害検出なども管理をすることができます。近年では、クラウドサービスなども普及しているため、サブスクリプション契約も管理の対象となっています。

参考:ソフトウェア資産管理の目的と導入のメリットを解説

3.ライセンス管理

ライセンス管理とは、ソフトウェアを購入時の使用許諾契約に沿って利用がされているかを管理することです。使用許諾契約に沿っていない方法で利用をすると違約金の支払いが求められたり、大きな会社では、ニュースになり社会的信用が低下することに繋がりかねません。また、ライセンスを管理することで、違法コピーソフトによるマルウェア感染なども防ぐことができます。上記のようにリスクから守るだけでなく、WindowsなどのOSライセンスを適切に管理することで新たにOSのライセンスが付随しているPCを購入するケースもなくなりコストの削減に繋げることもできます。

社内PC管理の方法

社内PCの管理においては、IT資産管理だけでなく、現在はより詳細な情報を一元管理すること、ライセンスの管理も重要であることが分かりました。実際には、どのように管理したらよいのでしょうか。管理の方法とポイントを紹介します。

パソコン管理台帳をエクセルでやることの限界

IT資産管理自体をExcelで行う方法もあります。IT資産に変更が発生した場合、都度手作業で更新を行う必要があります。したがって、管理する対象がごく少数の小規模な会社であれば、メンテナンスは可能でしょう。しかし、ある程度大きい会社となると情報収集やメンテナンス量が多くなり管理するのは難しいでしょう。また、インベントリ管理まではできないため、セキュリティリスクが発生する可能性もあります。

PC管理ソフトを使う

上記のインベントリ管理を行う方法として、PC管理ソフトを利用する方法があります。PC管理ソフトを利用することで、IT資産管理を一元化し効率的に管理を行うことができます。PC管理ツールでできることは多岐にわたり、例えば以下のことができます。

・ハードウェアやソフトウェアの資産情報の管理やライセンス管理
・管理しているPCにインストールされているソフトウェアの状況確認
・更新プログラムのアップデート状況の把握
・操作ログやプリントログ、ログの収集
・遠隔地にあるPCにもアクセスして操作が可能となるリモートコントロール機能

他にもPC管理ソフトでできることはあり、その内容はソフトによって様々です。自社のセキュリティポリシーや掛けられる費用などを考慮して適切なPC管理ソフトを選ぶようにすると良いでしょう。

参考:IT資産棚卸の3つの目的、注意点、効率化の方法を考える | 漏洩チェッカー

中小企業の情シスの実態とPC管理の課題

一般社団法人 ひとり情シス協会の2021年の調査によると、従業員数100名から500名の「ひとり情シス」企業は、32%でした。中小企業の情報システム担当者は、業務が多忙な傾向にあります。コロナ化のリモートワークの促進やデジタル化への対応を踏まえて増員を検討している企業も多いようですが、作業量も大幅に増えるため、多忙な状況は変わらないと推察できます。このような状況から、中小企業の情報システム担当が、PC管理が適切にできず、セキュリティリスクや対応の遅れが発生するなどの課題が考えられます。

関連記事:ひとり情シスとは?実態や退転職事情、課題や対応策 | 漏洩チェッカー

PC管理アウトソーシングのメリット・デメリット

中小企業では、情シス人材が不足しているという実情を踏まえた上で、PC管理をアウトソーシングすることも可能です。外部リソースを利用することになるので、コストがかかってしまうのはデメリットとなりますが、常に情シス人材を確保できる点や短期間で適切な対策を立案できる点はメリットと言えるでしょう。

参考:社用PC監視の導入について、4つの視点から考える

PC管理ソフト5選

ITトレンドから代表的なPC管理ソフトとして次の5つを紹介します。

・SKYSEA Client View
・System Support best1(SS1)
・漏洩チェッカー
・ManageEngine ServiceDesk Plus
・AssetView

各PC管理ソフトでは、IT資産を管理できるだけではなく変更管理や運用管理など業務に必要な支援をしてくれます。

SKYSEA Client View

SKYSEAは、インベントリ管理以外にもリモートワークの労働時間の見える化や遠隔地のPCを操作できるリモートコントロール機能がついています。SaaSとしても導入できますし、オンプレミスでの導入も可能です。料金は100台あたり年間710000円と少し高額ですが、研修会やセミナーを実施していたり、ヘルプデスクやリモート操作のサポートもあるので安心して利用ができるでしょう。

System Support best1(SS1)

System Support best1は、資産管理および勤務時間の管理などができます。それ以外にも社内PCへのファイル配布やメッセージ配信による運用業務支援や管理環境の変動や違反アラートを配信できます。オプションをつけるとインベントリ管理も実施できます。料金は1ライセンス5000円~となりオプションの内容によって料金が変動します。欲しい機能だけを選定して導入できるのがメリットと言えるでしょう。

漏洩チェッカー

漏洩チェッカーは、PC一台100円から管理を始められるIT資産管理ツールです。漏洩チェッカーでは、詳細なインベントリ管理もでき、ファイル管理や画面共有などで機密情報が見られないようにするデスクトップ管理も可能です。またUSB管理などもでき、スモールスタートから管理を始める場合やサーバーはあまり導入していない中小企業でなどは、お手軽に導入ができてすぐに対策ができるようになるでしょう。また、クラウドサービスで初期費用がかからない点もメリットと言えます。

参考:ハードウェア管理 | 漏洩チェッカー

ManageEngine ServiceDesk Plus

Service Desk Plusの料金は、上記の3つに比べて高額ですが、IT資産管理だけでなく、変更管理やインシデント管理、問題管理などの通常の運用業務でも使用することができます。資産管理と運用管理をこのツールで、一本化できるのはメリットと言えるでしょう。利用体系もオンプレミスとクラウドの両方で利用ができ、購入後も技術サポートを受けることができます。

AssetView

AssetViewは、資産管理以外にも自社の情報を守ることに注力をしており、マルウェアの対策やPC紛失時にPCをリモートで操作し、ロックをしたり、ファイルを削除したりすることができます。また、PC操作ログも収集ができるため、マルウェアに感染した場合の原因分析も可能になります。AssetViewでは計17種類の機能が用意されており、自社のニーズに合わせて選ぶことができます。オンプレミスでもクラウドでも利用ができる点もポイントと言えるでしょう。

海外拠点のPC管理の課題

海外拠点のPCにおいても適切に管理をすることが求められますが、国内ネットワークで接続されていない海外PCは、従来のオンプレミスPC管理ツールでは管理が難しいです。この解決策としては、クラウド型のPC管理ツールを導入することをおすすめします。クラウド環境で利用することで、インターネットに接続できればPC管理を行うことができます。

まとめ

社内PCは、セキュリティ面や資産を効率的に利用するという面で必ず適切に管理をするべきでしょう。その際には、Excelなどで手動管理するよりもPC管理ツールを利用して効率的に管理することをおすすめします。PC管理ツールは、ニーズによってカスタマイズできる傾向が強くなっています。自社に必要な機能や海外PCを管理するかなど明確にして、ツールの導入を検討してみると良いでしょう。

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