事業が成長して部署や人が増えてくると、従業員は全体を把握しにくくなり、生産性が落ちることが懸念されます。その対策として業務可視化は効果的です。本記事では、テレワーク時代における業務可視化の意義や進め方、成功のポイントを詳しく解説します。

業務可視化とは何か

組織が大きくなり、管理項目が増えてくるにつれて、従業員は組織の全体像を把握しにくくなり、業務効率が低下したり、無駄な業務が発生するケースも増加します。テレワーク環境下では、この傾向がさらに強まる傾向にあります。

その対策として効果的な施策が「業務可視化」です。よく聞く言葉ですが、具体的にどのような施策なのかを「見える化」の違いとともに解説します。

全体像や工程がひと目で分かるようにする取り組み

業務可視化とは、組織内のさまざまな業務プロセスを図式化したり、データ化したりすることで、誰もが理解しやすい形で表現する取り組みです。テレワーク環境下では、この可視化がより重要になります。

例えば、営業部門の商談プロセスを可視化すると、リード獲得から契約締結までの各ステップが明確になり、どの段階でボトルネックが発生しているかが一目瞭然になります。これは、オフィスでの対面コミュニケーションが減少したテレワーク下でも、全体の進捗を把握しやすくなります。

管理職は部下の進捗状況を把握しやすくなり、効率的な指示出しが可能になります。また、新入社員にとっても、業務の全体像を理解しやすくなるため、テレワーク下でも早期戦力化につながるでしょう。

見える化と何が違う?

見える化が単にデータや情報を分かりやすく可視化することを指すのに対し、業務可視化はそれらをさらに分析し、改善につなげる一連のプロセスを含みます。

例えば、コールセンターの応対時間を単にグラフ化するのが見える化だとすれば、業務可視化ではそのデータを基に応対プロセスを分析し、効率化の方法を検討するところまでを含みます。

つまり、業務可視化は見える化を一歩進めた、より戦略的なアプローチといえるでしょう。

業務可視化がなぜ重要なのか

業務可視化の重要性は、テレワークの普及でさらに高まっています。物理的な距離が離れた環境下で、チームの連携を円滑に保つためには、業務の透明性が欠かせません。

例えば、プロジェクト管理ツールを使って各タスクの進捗状況を可視化することで、テレワーク中のチームメンバー全員が現在の状況を把握でき、効率的な協働が可能になります。

また、業務の無駄や重複を発見しやすくなるため、テレワーク下でのコスト削減にもつながります。

加えて業務可視化は従業員の満足度向上にも寄与します。自分の仕事の意義や全体における位置付けが明確になることで、テレワーク中でもモチベーション向上や離職率の低下につながるケースも多いのです。

業務可視化の進め方

業務可視化を効果的に進めるには、システマティックなアプローチが重要です。そのための具体的な手順とそれぞれのステップでの注意点を解説します。

①現在の業務内容の洗い出し

まずは現状を正確に把握することから始めましょう。各部署の主要な業務を洗い出し、それぞれの作業内容や所要時間、関係者などを詳細にリストアップします。

この際、重要なのは現場の声を丁寧に拾い上げることです。そこで拾い上げた声から問題点や改善点を分析し、客観的に把握しやすいよう整理します。

また、業務日報を活用するのも一つの方法です。一定期間、詳細な業務日報をつけてもらうことで、普段は意識していない細かな作業も洗い出すことができます。

②改善点の洗い出しとプロセスマップの作成

業務内容が洗い出せたら、次は改善点を探ります。各業務のボトルネックや無駄な作業、重複している作業などを特定しましょう。

例えば、経理部門で毎月の締め処理に時間がかかっているとします。その要因を分析したところ、各部署からのデータ提出が遅れがちで、催促や確認作業に多くの時間を費やしていることが分かりました。この場合、データ提出の期限設定や自動リマインダーの導入などが改善策として考えられます。

これらの情報を基に、理想的な業務フローを表すプロセスマップを作成します。フローチャートやスイムレーン図などを使って、誰が見ても分かりやすい図解を心掛けましょう。

③業務手順の整理と周知

改善されたプロセスマップができたら、それを基に具体的な業務手順を整理します。各作業の詳細な手順、注意点、必要なツールなどを明記したマニュアルを作成しましょう。

例えば、営業部門の商談プロセスであれば、「初回アポイントの取り方」「提案書の作成手順」「見積書の作成と承認フロー」など、各ステップごとに詳細なガイドラインを設けます。

作成したマニュアルは、社内のイントラネットなどで共有し、いつでも誰でも参照できるようにしましょう。また、定期的な研修会を開催し、新しい業務フローの周知徹底を図ることも効果的です。

④継続的な振り返りを行う

業務可視化は一度行えば終わりではありません。定期的に振り返りを行い、改善の効果を確認したり、新たな課題を発見したりすることが重要です。

例えば、四半期ごとに各部署のリーダーが集まり、業務改善の成果や新たな課題について議論する場を設けましょう。また、従業員アンケートを実施し、現場の声を継続的に集めることも有効です。

PDCAサイクルを回し続けることで、組織全体の業務効率が継続的に向上していきます。「改善に終わりなし」の精神で、常により良い業務プロセスを追求しましょう。

業務可視化を成功させるポイント

業務可視化を成功に導くには、いくつかの重要なポイントがあります。実践的なアドバイスとともに、よくある失敗例とその対策についても触れていきます。

ヒアリングはさまざまな視点から行う

業務可視化の成功の鍵は、多角的な視点からの情報収集にあります。経営層、管理職、現場の担当者など、異なる立場の人々から意見を聞くことで、より包括的な業務の全体像を把握できます。

例えば、営業部門であれば、ベテランと新人それぞれの営業担当の1日の業務フローを聞き取りましょう。両者の違いから、効率化のヒントが見つかるかもしれません。

また、ヒアリングの際は、「なぜそうしているのか」を深掘りすることも重要です。長年の慣習で非効率な作業が続いているケースもあるため、根本的な理由を探ることで、真の問題点が見えてくるでしょう。

可視化の目的を明確化する

業務可視化を始める前に、その目的を明確にしておくことが重要です。「なぜ業務を可視化するのか」「何を達成したいのか」を組織全体で共有しておくことで、効果的な取り組みが可能になります。

例えば、「テレワーク下での顧客対応時間の短縮」が目的であれば、オンライン商談や遠隔サポートに関わる業務プロセスに焦点を当てて可視化を進めます。

一方、「テレワーク中の部署間の連携強化」が目的であれば、オンラインでの情報共有や意思決定のプロセスに重点を置くでしょう。

目的が曖昧なまま可視化を進めると、膨大な時間とリソースを費やしたにもかかわらず、期待した成果が得られないというリスクがあります。目的を明確にし、それに沿った形で可視化を進めることで、効率的かつ効果的な取り組みが可能になるのです。

業務可視化ができるツールの導入

適切なツールの活用は、業務可視化の効果を大きく高めます。近年では、クラウドベースの業務管理ツールやプロジェクト管理ソフトなど、さまざまな選択肢があります。

例えば、ITサービス企業では、プロジェクト管理ツールを使って、タスクの進捗状況をリアルタイムで可視化しています。チーム全体の作業状況がひと目で分かり、リソース配分の最適化や納期管理が容易になりました。

また、BPM(ビジネスプロセス管理)ツールを導入することで、複雑な業務フローを視覚的に表現し、分析することができます。

ただし、ツールの導入に当たっては、自社の規模や業務の特性に合わせて選定することが重要です。高機能すぎるツールを導入しても、使いこなせずに宝の持ち腐れになってしまうケースもあります。

まずは小規模なプロジェクトで試験的に導入し、効果を検証してから全社展開するのが賢明でしょう。

関連記事:業務可視化ツールの機能や特徴を解説。おすすめツールも紹介

業務可視化で生産性の効率をアップする

業務可視化は、組織の生産性向上と効率化を実現する強力なツールです。製造業での不要な作業工程の削減や、サービス業での顧客対応時間の短縮など、具体的な成果が多く報告されています。

その効果を最大化するには、可視化されたデータを基に継続的な改善活動を行うことが重要です。

また、従業員の意識改革も忘れてはいけません。業務可視化は単なる効率化ではなく、働きやすい環境づくりにもつながります。小さな一歩から始め、徐々に範囲を広げていくアプローチが効果的でしょう。

業務可視化は自社に合った方法で業務可視化に取り組むことで、組織全体の生産性向上と従業員一人一人の働きがいの向上を実現できます。

関連記事:テレワークの管理、監視の5つのポイントとツールの分類

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漏洩チェッカー 編集部

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